熊本大学医学部附属病院神経内科アミロイドーシス診療センター

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アミロイドーシス診療センター
Amyloidosis Medical Practice Center,
Kumamoto University Hospital

教授挨拶


アミロイドーシスの早期発見・早期治療を目指して』

               

 アミロイドは、ドイツの病理学者ウィルヒョウにより、でんぷんに似た異常な沈着物として、今から150年ほど前に命名され、現在では不溶性のタンパク質による線維性の凝集物であることが明らかとなっている。このアミロイドが身体の諸臓器に沈着し、機能障害を引き起こす疾患群がアミロイドーシスであり、その病型として、熊本県内に患者の多い、「家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)」をはじめ、約30種類が知られている。新しい治療法も開発されており、早期発見、早期治療の重要性が高まっているが、診療体制は十分整備されていないのが現状である。

 熊本大学病院神経内科(教授:安東由喜雄)では、熊本県の地域医療再生計画より補助を受けて、「アミロイドーシス診療体制構築事業」に取り組み、全国の医療機関からの診断、診療支援の依頼に対応している。さらに、本年度より大学病院にアミロイドーシス診療センターが開設された。アミロイドーシスは、末梢神経や、心臓、腎臓、消化管など、多臓器に障害を来す疾患であり、あまりにも専門化・細分化しすぎた現代医療の中で、アミロイドーシスを包括的に病型診断できる拠点は全国になかった。当施設では、全国の医療機関から送られてきた、この疾患が疑われる患者の血液や組織の、組織学的検査や遺伝子解析を行うことで、異常タンパク質の種類を特定するなどして、アミロイドーシスの確定診断を行っている。また、外来や入院により、地域の医療機関と連携した診療を行っている。

 過去2年間で649例の診断依頼があった。最も多かった病型は多発性骨髄腫を合併することがある「免疫グロブリン性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)」で約37%を占め、高齢者の心臓などにトランスサイレチンが沈着する「老人性全身性アミロイドーシス(SSA)」が約17%、「家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)」が12%、関節リウマチに合併することの多い「AAアミロイドーシス」が約10%だった。我々の事業において、全国的に多くの患者が原因不明疾患として埋もれている可能性が分かってきた。

 このうち、FAPは肝移植で生命予後が改善するようになった。さらに、平成2611月からは、アミロイドの形成を防ぐことで症状の進行を抑える内服薬が使用可能となった。いずれの治療も症状が進行してからでは効果が小さく、早期発・診断の重要性が高まっている。

 アミロイドーシス診療には、特定の臓器別診療科のみでは対応困難な場合があり、一領域にとどまらない幅広く豊富な医療知識と技術を必要とする。ウィルヒョウによる発見から約150を経た今日においても、アミロイドーシスの診療体制は十分でなく、包括的診療体制の充実が必要である。

平成27年4月1日


熊本大学医学部附属病院神経内科 
アミロイドーシス診療センター
特任教授 山下太郎
     




                                            

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