15年4月1日をもちまして消化器内科学教室が誕生いたしました。これまでは熊本大学では第一内科ならびに第三内科の消化器グループが、それぞれ独自に診療・研究にたずさわってまいりましたが、大学院部局化に伴い2つの消化器グループが一体化しました。消化器疾患は性別や年齢にかかわらず、日常診療において最も頻度の高い疾患です。国民病とまでいわれていた胃潰瘍、十二指腸潰瘍の主たる原因がピロリ菌であることが判明し、またピロリ菌感染と胃癌との関連が明らかになってきました。
そのため抗菌薬による除菌療法が広く普及するようになり、潰瘍の治療法が大きく進歩しました。また除菌により胃癌の予防効果がもえられるものと期待されます。その反面、除菌後の逆流性食道炎の増加という新たな問題が生じております。また、食生活の欧米化に伴い大腸癌や炎症性腸疾患が増加の一途をたどっています。さらに1989年に発見されたC型肝炎ウイルスによる慢性肝疾患もあらたな国民病としてとらえられており、それに対してインターフェロンと抗ウイルス剤の併用療法が一般的になってきています。
しかしながらその効果は充分なものといえず、投与方法の改良やあらたな薬剤の導入が待望されています。加えて慢性肝疾患に高頻度に合併する肝癌に対してラジオ波などの新たな治療法が登場しています。
このように医学・医療の進歩、生活習慣や環境の変化は日本における消化器疾患の疾病構造を大きく変えてきました。このような変化に対応し、また変化を予想して診断法、治療法の開発と改良、さらには予防法の確立を行うことは、社会から我々に与えられた課題であります。そのために、我々は関連病院や地域の先生方と連繋して、柔軟な発想と熱意をもって、新しい技術や知識を積極的に取り入れ、消化器病・肝臓病の診療・研究に貢献していきたいと考えております。
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