夜中に何回もトイレに起きるんだけど?


当科からの回答

日中は普通にトイレに行くのに、夜寝た後に何度もトイレに行くようになったら、ちょっと注意が必要です。50歳代までは正常であれば夜眠った後に朝までトイレに起きることはあまりありません。しかし慢性心不全の患者さんや、何らかの腎疾患で尿の濃縮力が障害された場合には夜中に何回もトイレにいくようになります。

慢性心不全の患者さんの場合、夜寝ると心臓の負担が減り、また交感神経系の緊張が緩み腎血流が増加します。その結果として尿量が増えると考えられているためこの場合腎臓の問題ではありません。

腎臓では1日に1〜2リットルの尿を作って排泄しています。膀胱の容積には限りがありますので、尿が常に同じ量作られたら4〜5時間ごとにトイレに行く必要があります。たいていの人は7〜8時間続けて眠ることが多いのでおねしょをすることになってしまいます。そのため、夜間は抗利尿ホルモン(ADH)というホルモンが出て濃い尿を作り、尿量を減らすようになっています。ところが何らかの原因で腎臓がうまく働かないと尿を濃くすることが出来なくなり、夜の尿量が減少せずに夜中に何回もトイレにいくようになります。

慢性腎炎や慢性腎不全の患者さんの大部分はほとんど自覚症状を持ちません。腎臓の予備能力が大きくまた進行がかなり緩やかなため、体が慣れてしまっているせいです。そういった中で、腎臓の濃縮力障害に伴う夜間多尿は、安眠が出来なくなるため不愉快で、かなりの患者さんが自覚しています。もしこんな症状があったら一度近所のお医者さんで調べてもらってください。

夜間多尿を示す疾患としては、慢性心不全、慢性腎炎、慢性腎不全、間質性腎炎、慢性腎盂腎炎、原発性アルドステロン血症などの低カリウム血症を来す疾患など様々な病気がありますのでそういった病気を鑑別することが必要です。


もっと詳しく知りたい方は当科外来にお越しいただくか、近所の医療機関でご相談ください。