末梢血管の手術>>
閉塞性動脈硬化症
-
閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったりして、血液の流れが悪くなる病気です。そのため、歩行時に足の、痛み、冷たさなどを感じます。さらに進むと、安静時でも症状が現れるようになります。
動脈硬化の原因は不明ですが、高脂血症の関与が大きいと考えられており、そのほかに高血圧、喫煙、糖尿病なども原因と言われています。
閉塞性動脈硬化症の症状 (Fontaine分類)
- 閉塞性動脈硬化症の症状には次のようなものがあります。
- しびれ、冷感 (I度):
- 動脈硬化などによる血行障害により、しびれ、冷感がみられます。しかしこの段階では血行障害の程度は軽いことが多く、多くの場合症状もすぐ消失し、通常は無症状であることもあります。その他、皮膚変化としては皮下脂肪の委縮、脱毛などがみられることがあります。
- 間欠性跛行 (II度):
- 下肢血行障害の特徴的症状のひとつです。ある一定の距離を歩くことにより、特定の筋肉に痛みやこわばりが生じ、歩けなくなりますが、しばらく休むと再び歩けるようになります。この様な症状を間欠性跛行といいます。安静にしている時は血流が比較的保たれていますが、歩行時の足への血液供給が減少するために生じる症状です。
- 症状の程度により治療法が選択されます。
- 安静時疼痛 (III度):
- さらに血流が悪くなると、安静時にも血液供給が不足し、痛みが生じてきます。この様な状態になると潰瘍、壊死が起こりやすくなるため、治療の対象となります。
- 潰瘍形成 (IV度):
- 足先の怪我が治りにくくまた、足の趾の先端部や圧迫を受けやすい場所などの血流の悪いところから皮膚の壊死(えし)、潰瘍が生じます。血流が悪いために傷は治りにくく、傷口がどんどん広がり、感染を合併してくることもあります。改善傾向がない場合は最悪の事態として足を切断しなければならないこともあります。すぐに適切な治療を行う必要があります。
閉塞性動脈硬化症の合併症
- 動脈硬化は全身疾患であり、すべての動脈に起こる可能性があります。閉塞部位によっては、脳血管障害、虚血性心疾患などの重篤な合併症を引き起こす危険性があります。
- 1:虚血性心疾患
- 心臓の動脈(冠動脈)に動脈硬化が起こり、そのため心臓の一部の血行障害が生じることによりに起こる疾患で、狭心症、心筋梗塞を起こします。
- 症状は胸痛、胸部不快感などです。
- 2:脳血管障害
- 脳の動脈に動脈硬化が起こり、脳の一部に血液が流れにくくなるために生じる病気です。脳虚血または脳梗塞の状態です。言葉がうまくしゃべれない、手足が動かない、また、物が見えにくいなどの症状がでることがあります。
- 3:動脈瘤、動脈解離
- 動脈硬化の合併症に動脈瘤・動脈解離を生じることがあります。
閉塞性動脈硬化症の検査
- 1:四肢動脈拍動の触知
- 2:上下肢血圧測定ABI (Ankle Brachial Pressure Index)=上腕動脈最高血圧/足関節部最高血圧
- ABIが動脈硬化(下肢血流)の相対的評価に役立ちます。
- ABIの正常は1.0以上で、0.9以下は閉塞性動脈硬化症の疑いとなります。ABIが0.7以下で症状が出現し、0.7〜0.6で間欠性跛行が出現するといわれています。0.4以下で安静時疼痛、潰瘍が出現してきます。
- 3:CT・MRI(MRA):
- 血管の形態を評価する検査です。かつては血管造影で評価していましたが、最近は解像度が増し、診断能力が増しています。血管の狭窄・閉塞を診断し、治療法の選択に有用です。
- 4:超音波ドップラー検査
- 5:動脈造影など
閉塞性動脈硬化症の治療
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤とは
- 足の静脈が瘤のように膨らみ、足がむくむ、疲れやすい、皮膚が変色した、かゆいなどの症状を認めます。
- 下肢の血液は、足の運動によって心臓に戻っていきます。また静脈には、血液の逆流を防ぐための弁がついていて、血液が重力に負けて下へ引かれ逆流しないようにくい止めています。しかしこの弁が壊れたり、太い静脈血管との交通障害などで血液が逆流し、足の下の方に血液が溜まり、静脈がこぶのように膨らみます。
下肢静脈瘤の症状
- 足の血管が浮き出いる
- 足がむくむ、痛む、だるい、重い、疲れやすい
- 足に熱感があったり、しばしば足がつる(こむらがえり)
- 足がかゆい、治りにくい湿疹がでたり皮膚が黒ずんでみえる
- 足に潰瘍ができている(皮膚が破れて出血がある)