目次
プログラムの概要・特徴 研修の目標 研修の方略 研修の評価研修実施責任者 研修指導責任者 関連施設など その他
1.プログラムの概要
概念
- 心臓血管疾患は食生活や習慣の欧米化・人口の高齢化にともない発生数が増加し、外科治療の重要度が増している。日本の外科学会系の専門医制度は基本領域の専門医をまず取得し、その上にサブスペシャリティの専門医をとる二段階制となっている。本修練プログラムでは、まず外科医として生涯教育の礎を築き、外科専門医のための修練を行う。大学病院および関連施設で外科の他領域の研修ローテーションも可能である。本プログラム3年終了時には外科専門医受験資格を取得できる。その上で、心臓血管外科医療を行うために必要な知識と技量を習得する。大学院において基礎・臨床研究を行い、洞察力を養い、新治療法の開発に参加する。本プログラム終了時には、心臓血管外科専門医受験資格を取得できる。また脈管専門医、ステントグラフト実施医、循環器専門医などの受験資格を取得できる。研修期間でも、国内・海外留学を推奨する。
対象
- 初期研修を終了した医師
期間
- 卒後3年目から10年目程度
実施施設
-
熊本大学医学部附属病院心臓血管外科および関連施設の外科・心臓血管外科
指導医
- 心臓血管外科専門医・外科専門医・指導医を中心とした経験豊富な医師が指導する。
取得資格
- 外科専門医、心臓血管外科専門医、循環器専門医、脈管専門医、胸部および腹部大動脈瘤ステントグラフト実施医ほか
選択
- 各医師のカリキュラム進行度に応じ、相談して決定する。
2.研修の目標
一般目標
- 外科専門医資格を習得し、生涯教育の礎を築く。心臓血管外科専門医認定基準の知識と技量を習得し、心臓血管外科専門医を取得する。心臓血管外科のどの専門分野でも活躍できる外科医を目指す。大学院で研究し、医学博士の学位を取得する。
行動目標
- 1. 外科専門医の取得に必要な症例、手技を経験し、外科の専門知識と技能を習得する。
- 外科専門医取得に必要な手術経験
- (1)消化管および腹部内蔵(50例) (2)乳腺(10例) (3)呼吸器(10例)
- (4)心臓・大血管(10例) (5)末梢血管(頭頸部血管を除く)(10例)
- (6)頭頸部・体表・内分泌外科(10例) (7)小児外科(10例) (8)外傷(多発外傷を含む)(10例)
- (9)上記(1)〜(8)の各分野における内視鏡手術(10例)
- 2. 心臓血管疾患の症状と理学的所見から、画像診断(X線、CT、MRI、超音波検査)、生理学的検査(心電図、トレッドミル、血液ガス分析、ABI)、心臓血管造影法、経食道超音波検査法などの適応を決定し、検査結果を解析できる。
- 3. 一般状態、病態、他臓器機能、合併疾患を総合的に評価し、治療計画の策定と手術適応の決定、術式の選択ができる。
- 4. 心臓血管外科専門医認定機構が定めた経験すべき基本的手技、手術を経験する。
- 5. 手術患者の循環管理、レスピレータ呼吸管理、輸液、輸血、感染対策などの周術期管理が適正にできる。術後合併症の早期発見と対策ができる。
- 6. 医の倫理に基づいた適切な態度、習慣を身につけ、チーム医療を実践できる。
- 7. リスクマネージメントを理解し、医療事故に際して迅速に遺漏なく対処できる。
- 8. 国内・国際学会において研究発表を行い、論文を発表し、医学の発展に貢献する。
3.研修の方略
研修期間 卒後3年目から10年目
- 卒後3年から5年まで外科専門医修練施設の大学病院および関連病院で、一般外科、心臓血管外科、消化器外科、呼吸器外科など広い分野の研修を行い、外科専門医の受験資格を得る。卒後6年から9年まで、心臓血管外科専門医修練施設の大学病院および関連病院で研修を行い、心臓血管外科専門医の取得を目指す。この間に医学研究、博士取得のため大学院進学、あるいは国内留学、海外留学なども各人の希望により可能である。
研修スケジュール
- 日本外科学会、日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会、日本脈管学会に入会し、各学会の専門医取得に向けてスケジュールを組む。
-
1年
卒後初期研修 外科専門医2年(選択:外科・心臓血管外科) 修練期間3年大学病院(医員) 心臓血管外科入局 心臓血管外科4年
関連病院 外科・心臓血管外科 専門医5年
関連病院 大学院(1年社会人枠) 予備試験(筆記)修練期間6年
大学病院(医員) 大学院(2年) 認定試験7年
大学病院(医員) 大学院(3年) 8年
大学病院(医員) 大学院(4年) 学位取得9年
関連病院 大学病院(医員または助教) 10年
関連病院・国内留学・海外留学・大学スタッフ 認定試験
- 取得可能資格:外科専門医、心臓血管外科専門医、脈管専門医、循環器専門医、医学博士
週間スケジュール
-
月
火
水
木
金
7:30
心血外科・循環器合同カンファ
8:00
病棟カンファ
病棟カンファ
術後報告会病棟カンファ
病棟カンファ
術後報告会病棟カンファ
午前
手術
外来診療
手術
外来診療
手術
午後
手術
手術カンファ
総回診手術
病棟・外勤務
病棟
16:00
病棟
新薬・医療機器
説明会病棟
病棟・外勤務
麻酔科・人工心肺合同カンファ
17:00
抄読会・医局会・ウェットラボ
4.研修の評価
- 外科専門医修練カリキュラム、心臓血管外科専門医修練カリキュラムの達成度は指導医および研修指導責任者が確認する。最終的には外科専門医、心臓血管外科専門医試験で判断される。
5.研修実施責任者
- 総括責任者:川筋 道雄(教授)
- プログラム担当責任者:坂口 尚(講師、医局長)
6.研修指導責任者
氏名 (役職) | 所属学会など |
川筋道雄 (教授) | 胸部外科学会指導医、外科学会指導医、心臓血管外科専門医、外科専門医 、 循環器専門医、米国STS会員 |
坂口 尚 (講師) | 外科学会指導医、心臓血管外科専門医、外科専門医、胸部外科学会認定医 |
岡本 健 (助教) | 心臓血管外科専門医、外科専門医、脈管専門医、ステントグラフト実施医 |
田爪宏和 (特任助教) | 外科専門医 |
國友隆二 (非常勤講師) | 外科学会指導医、心臓血管外科専門医、外科専門医 |
森山周二 (非常勤講師) | 外科学会指導医、心臓血管外科専門医、外科専門医 |
平山 統一 (済生会熊本病院) |
心臓血管外科専門医、外科専門医、外科学会指導医 |
岡本 実 (熊本医療センター) |
心臓血管外科専門医、外科専門医 |
毛井 純一 (熊本労災病院) |
心臓血管外科専門医、外科学会指導医、胸部外科学会指導医 |
鈴木 龍介 (熊本赤十字病院) |
心臓血管外科専門医、外科専門医 |
高橋 幸宏 (榊原記念病院) |
心臓血管外科専門医、外科学会指導医、胸部外科学会指導医 |
7.関連施設および該当施設の学会認定状況
- 熊本大学医学部附属病院および関連施設は、日本外科学会指定施設、心臓血管外科専門医認定機構修練施設であり、外科専門医、心臓血管外科専門医の取得に必要な臨床経験を効率的に積むことできる。
施設名 | 資格等 |
熊本大学医学部付属病院 | ○ 外科学会専門医制度修練施設 ◎ 心臓血管外科専門医制度修練施設 ◇ 腹部大動脈瘤ステントグラフト実施施設 □ 胸部大動脈瘤ステントグラフト実施施設 |
済生会熊本病院 | ○ ◎ ◇ □ |
熊本医療センター | ○ ◎ ◇ □ |
熊本赤十字病院 | ○ ◎ ◇ □ |
熊本労災病院(八代) | ○ ◎ ◇ □ |
人吉総合病院(人吉) | ○ |
榊原記念病院(東京都) | ○ ◎ ◇ □ |
8.その他
- 手術、救急医療をカバーする地域の急性期中核病院、特色のある県外の関連施設を有し、先天性心疾患手術やステントグラフト治療の専門病院と連携を図っており、希望分野で国内留学が可能である。県内の関連施設はすべて一般外科、心臓血管外科、消化器外科、呼吸器外科を有し、施設内の外科で連携をとって外科専門医受験資格を取得できるように研修指導をしている。医局ではウェットラボ(動物心臓・血管を使った手術手技トレーニング)を2ヶ月ごとに行い、また日本心臓血管外科学会主催の心臓血管外科サマースクールに学生・研修医を派遣し、トレーニングに力を入れている。
9.連絡先
- 住所 〒860-8556 熊本市中央区本荘1-1-1
- 熊本大学医学部附属病院 心臓血管外科
- TEL 096-373-5205(直通) FAX 096-373-5207
- 担当者 坂口 尚(医局長)、船津靖子(医局秘書)
- E-mail: shinzou@kaiju.medic.kumamoto-u.ac.jp