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専門外来

専門外来紹介

緑内障外来

緑内障は、視神経が障害され、視野(目の見える範囲、視界)が狭くなっていく病気です。視神経は、眼の網膜から脳へ視覚情報を伝えるための配線(軸索)で、網膜神経節細胞とよばれる神経細胞の一部です。緑内障で視神経にダメージを受けるとその本体である網膜神経節細胞が死んでいきます。死んで失われた網膜神経節細胞は2度と戻ることがないので、早い時期に緑内障を発見し、進行・悪化を食い止めるのが緑内障治療の目標です。

当院では、視野の変化を正確に捉えるため、ハンフリー静的視野検査器を3台同時に稼働させ、信頼できる視野検査をスムーズにおこなえるよう配慮しています。また、視神経乳頭へのダメージを客観的に評価するために、光干渉断層計による神経線維の評価も行なっております。また、治療方針の決定には、病状と治療の経過が重要ですので、可能な限り過去の情報を集めるように努めています。

今のところ、眼圧(目の硬さ)をより低く下げることによって、眼圧による視神経へのストレスを軽減し、網膜神経節細胞が死んでいくのを抑えることが、唯一の緑内障の治療方針です。最近では、有効な点眼薬が多数開発され、以前より眼圧を下げることができるようになってきました。しかし、それでも眼圧が十分に下がらない場合には、レーザー治療や手術をおこなって眼圧を下げる必要があります。当院では、緑内障のタイプや進行の程度によって、方法を選択しています。レーザー治療としては、選択的レーザー線維柱帯形成術、マイクロパルス波を用いた毛様体光凝固術などを行なっています。手術としては、白内障手術併用眼内ドレーン挿入術、線維柱帯切開術(眼内法/眼外法)、線維柱帯切除術、チューブシャント手術などを行なっています。選択肢は多いのですが、いずれの方法にも長所と短所があり、向き不向きもありますので、相談の上で方針を決定するようにしております。

一方、視神経が障害される病気は、緑内障だけではなく、それ以外の視神経の疾患が原因になることがあります。当院では、緑内障外来に神経眼科外来を併設して、緑内障に似て非なる別の病気「緑内障もどき」の鑑別にも重点を置いています。当院緑内障外来は、日本緑内障学会が進めている緑内障臨床研究に積極的に参加するとともに、独自の研究も行っている国内有数の緑内障臨床研究施設の一つでもあります。

糖尿病外来

糖尿病は高率に様々な眼合併症を生じる疾患です。なかでも糖尿病網膜症は我が国の中途失明原因の第2位であり、年間3000人余りが糖尿病網膜症で失明に至っているとされています。糖尿病人口は増加の一途にあり、失明性疾患のひとつである網膜症の克服は医学的にもまた社会的にも現在、眼科医が取り組む重要課題のひとつであります。
当科の糖尿病外来は主に、硝子体手術、緑内障手術を要する糖尿病網膜症の重症例の急性期治療と、糖尿病黄斑症の病態の解明および治療に取り組んでいます。
とくに糖尿病黄斑浮腫は読書や自動車運転に必要な視力が障害される病態で、糖尿病で視力が低下する原因の半数を占めています。硝子体内注射等の眼内薬物治療、レーザー治療、手術治療を病態に応じて選択、組み合わせることで視力の改善、維持に努めています。また手術治療は全国的にも屈指の症例数を手がける施設となっています。担当医全員が薬物治療、レーザー治療、手術治療に習熟しており、県内外の多数の症例の診療にあたっています。

網膜外来

網膜外来では、重篤な視力低下(時には失明)を引き起こす多くの疾患を対象としております。代表的なものとしまして、加齢黄斑変性、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜剥離、黄斑前膜、黄斑円孔、種々の原因による黄斑浮腫等があげられます。これらの疾患に対して通常の検査に加え、フルオレセイン・インドシアニングリーン蛍光眼底造影(高解像度共焦点レーザー走査型)、光学的干渉断層計(OCT)、OCTアンギオグラフィー、超広角眼底撮影、超音波生体顕微鏡、網膜電図(ERG)などの最新の検査装置を最大限に活用し、迅速で正確な診断と病態の把握に努め、治療方針の決定に役立てています。

手術の必要な網膜剥離や黄斑疾患に対しては、経験を積んだ専門医が積極的に行っております。最近では、従来よりもさらに小さな傷口で侵襲の少ない手術も導入されてきており、より眼に優しい治療が可能となってきています。薬物治療も日々進歩していますが、最新の知見に基づき現在考えられる最高の治療を提供出来る体制を整えております。特に最近患者数が増加し、現在中高年の失明原因の第4位である加齢黄斑変性に対しては治療成績の向上を目指し、光線力学療法(PDT)、抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体の眼内注射を患者さん個々人に合わせて組み合わせながら治療を行なっています。他の黄斑浮腫などに対しても、その病態に応じてレーザー光凝固術、ステロイドや抗VEGF抗体の眼内注射を適切に組み合わせることで最良の治療効果を目指しています。

ぶどう膜外来

眼の中に炎症がおきる病気の総称をぶどう膜炎といいます。症状として視力低下や霞み、眼の痛み、眩しさなどがありますが、片眼だけの場合や、両眼に症状が出る病気もあります。

原因は、ウイルスや細菌などの感染、全身疾患・免疫が関係するものなど様々ですが、ぶどう膜炎の患者様の3人に1人は原因が特定できないと言われています。原因がわかれば、治療方針や、経過、予後が詳しくわかることが多いため、眼科的検査だけでなく、全身検査、他の科と連携をしながら、原因の特定に努めています。(現在はウイルスが原因のブドウ膜炎に対する多項目PCR検査の先進医療取得に向けて手続き中です。)

治療はその原因によって異なりますが、基本的には薬物治療です。局所療法として、目薬や眼の周りの組織に注射をすることもあります。全身治療として、内服や点滴を行います。非感染性の場合は、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤の内服や、生物学的製剤である抗TNFα抗体製剤をベーチェット病や非感染性の難治性中間部~後部ブドウ膜炎の患者様に導入しています。

ぶどう膜炎は視力の予後や経過も様々で、場合によっては、長期間経過をみなければならない病気です。当外来は木曜の午前中に、主に、原因検索、急性期の治療、難治性の患者様をみています。グループ診療で数名の医師が診察することで、診断と治療方針に偏りがないように、最適の選択ができるように努めています。また、症状が落ち着いた場合でも定期的な診察を受けることが重要ですので、かかりつけの医療機関と連携をしながら経過をみています。

斜視・弱視外来

斜視・弱視外来では子供の眼位異常(外斜視、内斜視、上下斜視など)や弱視に対して眼鏡装用を行ったり、必要に応じて健眼遮蔽、交代遮蔽を行って視力発達や両眼視機能を促進させる訓練を行っております。また成人の方でも眼球運動障害で複視を訴えられたり、眼位異常でお悩みの方に対して眼位矯正のためのプリズム眼鏡を処方したり、斜視手術を検討しています。金曜日が外来日で水・金曜午前は斜視・弱視特殊検査を行っております。現在、視能訓練士7名と医師数名で外来を行っております。