国立大学法人
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臨床

難治性てんかんの治療

 てんかんは、脳の病気のなかでも患者さんの数が多いものの一つであり、およそ人口100人につき1人の割合であることが分かっています。熊本県の人口が約180万人ですので、県内には2万人近い患者さんがいることが予想されます。その約8割の患者さんでは、薬の治療だけで発作をおよそ止めることができます。特に最近の数年間で、「新規抗てんかん薬」と呼ばれる副作用が少なく効果の優れた内服薬が日本でも発売されるようになり、この新しい薬がてんかんの治療に大きく役に立つようになりました。しかしながら、残りの2割の患者さんでは、最適な薬の治療にもかかわらず、例えば週ごとのてんかん発作が治まらないことが原因で、社会生活のみならず日常生活にも大きな障害がもたらされます。

 薬の治療でどうしても発作が治まらない「難治性てんかん」の中で特に多いのが側頭葉てんかんです。典型的な発作は、「こみ上げるような胃の不快感、恐怖感、あるいは全身の違和感のあと、ボーッとして記憶が飛ぶ」というものです。記憶が飛んでいる間、患者さんの意識は薄れた状態で、周囲の人からみると、目は開いているが返事がなく、口をクチャクチャさせるあるいは手をゴソゴソ動かして周囲のものを無目的にさわる、といった発作症状がわかります。このあと、全身性けいれんに至ることもあります。発作が起こっていないときは病気のない人と等しく活動出来るにもかかわらず、時々起こるこの発作のために運転免許の取得が出来ず、就職も困難であることが多く、深い悩みを抱えて生きていることが多いのです。

 薬の治療でてんかん発作が止まらずお困りの患者さんはご相談ください。まずは、現在の薬の治療をもっと効果的にできないか、患者さん本人、ご家族と担当医が十分に話し合います。その後どうしても発作が止まらない時は、手術による治療が可能かどうか詳しい検査の計画を立てます。難治性てんかんの中には、側頭葉てんかんのように手術が特に効果が高く、約8割の患者さんで術後発作がほぼ消失するものがあります。当院には、てんかんの詳しい検査に必要な長時間ビデオ脳波モニタリング、3T-MRI、SPECT、あるいはPETなどの検査設備が整っており、難治性てんかんの患者さんの専門的治療を積極的に行っています。

担当:浜崎禎 [外来日:(月)(金)]
平成26年4月1日より熊本大学病院外来は完全予約制に移行しますので、初めての患者さんは、外来予約センター(ホームページhttp://www.kuh.kumamoto-u.ac.jp/gairai/、電話096-373-5973)であらかじめ予約を取って頂くか、担当医の浜崎(電話096-373-5219)まで直接ご連絡下さい。