腎臓が弱っていると言われたんだけど?


当科からの回答

腎臓が弱っていると言われた場合、たいていは腎機能が低下していることと同じ意味のことと思われます。いろんな腎臓病で腎機能が低下してきますが、元々腎臓は十分すぎるほどの予備能力を持っているためかなり腎機能が落ちてこないと自覚症状は生じません。そのため定期的にきちんと腎機能を測定する必要があります。

腎機能を調べる場合、最も手軽に使用されている検査は血液中のクレアチニンという物質の濃度を調べることです。クレアチニンは全身の筋肉組織から産生され、ほぼ一定量(1日に1g前後)が常に筋肉から血液中に分泌されています。このクレアチニンは腎臓で濾過されて尿中に捨てられますが、加熱した肉類を大量に食べたり、過度の運動をしない限りほぼ一定の値を示します。正常値は男性で0.8〜1.0mg/dl、女性で0.6〜0.8mg/dl程度です。腎機能が障害されるとこのクレアチニン値が上昇してきます。この値の逆数が実際の腎機能を反映しますので、過去数年分のクレアチニン値がわかっている場合、クレアチニン値の逆数を縦軸に、時間を横軸にしてグラフを書いてみることをお勧めします。



このグラフはある患者さんの過去4年分の血清クレアチニン値の逆数を縦に、時間を横にプロットしたものです。慢性糸球体腎炎の場合、直線的に低下することが多く、食事療法や治療の効果を見るのに役立ちます。

腎機能が低下している場合、様々な治療が必要になってきます。まずは原因をきちんと調べてその治療を行うことが必要です。その他の治療として、血圧のコントロール、食事療法、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンU受容体阻害薬、クレメジンという薬剤、体の酸性化の改善、貧血の治療のための注射などの治療があり、必要にあわせて選択する必要があります。担当の先生と相談してください。


もっと詳しく知りたい方は当科外来にお越しいただくか、近所の医療機関でご相談ください。