血圧が高いといわれたんだけど?


当科からの回答

中学校の理科で習ったと思いますが、電流と電圧、抵抗の間には電圧=抵抗X電流という関係があります。それと同様に血圧=全血管抵抗X心拍出量という関係が成り立ちます。標準的な血圧は、収縮期血圧が120mmHg(水銀120mmの高さに相当する圧力で0.158気圧)、拡張期血圧が80mmHg程度です。年をとって動脈硬化が生じると血管抵抗が増加し、それと共に血圧も徐々に上昇してきます。

収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧といいます。腎臓疾患、血管異常、内分泌疾患などで高血圧を生じる患者さんがいますが、それは高血圧全体の10%以下で、大部分の患者さんは何らの原因が判らない本態性高血圧症です。食塩摂取の増加、肥満、運動不足、ストレスなどで血圧は上昇しますが、それと共に遺伝的な背景が濃厚なようです。本態性高血圧症の患者さんで、薬を飲みたくないから減塩に努力すると言う人がいますが、食塩摂取量に感受性のある高血圧の人は全体の30〜40%に過ぎず、減塩したからといって必ずしも血圧が低下するわけではありません。

最近の降圧薬(血圧を下げる薬)は比較的副作用が少なく、大部分の人が安心して使えます。また一部の降圧薬では、心筋梗塞や腎機能低下を予防する効果が証明されています。本態性高血圧症の患者さんではこのような薬剤を使用して、十分な降圧をはかり、また運動を行って末梢血管を開き、体全体の血流を増加させることが必要です。血圧を下げるということは末梢の血管を開いて血管抵抗を下げることなのです。血圧=全末梢血管抵抗X心拍出量という関係を考えれば簡単な図式です。


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