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熊本大学大学院
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熊大病院では平成20年3月より最先端のカプセル内視鏡を導入いたしました。カプセル内視鏡は消化管を通過していく間に、先端に備わったカメラで消化管の内部を撮影し、その情報を身体に装着した受信装置へ送ります〔下図参照〕。体内より送られてきた画像情報より、消化管の病変がどこにあるか、どのような病気であるかを診断することが可能です。とくに小腸の病気にはその威力を発揮します。小腸は非常に長く検査方法が限られていたことから、これまでは診断も困難で病気もあまり解明されていませんでした。

最近ではダブルバルーン式小腸内視鏡(DBE)も実用化されており、当院でも導入しております。DBEは組織の検査や止血処置に有用な内視鏡ですが、検査時間が長いことから、スクリーニングの検査としては不向きです。その点、今回導入したカプセル内視鏡は、飲むだけでスクリーニング検査が可能です。以前は原因不明の消化管出血のみがカプセル内視鏡の適応でしたが、2012年7月パテンシーカプセルの登場により、現在ではすべての小腸疾患に適応が拡大されました。

このように2種類の検査法が臨床で使えるようになり、小腸病変の診断や治療が飛躍的に向上しています。これらの検査法にはそれぞれの特性があり、スクリーニングにはカプセル内視鏡を、精査には小腸内視鏡をという役割分担を行うことが必要です。

当院はカプセル内視鏡と小腸内視鏡の両方を有しており、目的に応じて検査法を選択することが可能です。熊本県では両者を備えている施設は当院のみです。

カプセル内視鏡動画

カプセル内視鏡写真

 
カプセルの大きさはどれくらいですか?
11×26mmで、通常のカプセル薬よりやや大きい程度です。
 
検査時間はどれくらいですか?
撮影時間は8時間です。カプセルを飲む前に、体外にて画像を受信し記録する装置をベルトで固定します。この準備に約30分かかります。
 
費用はどのくらいですか?
保険償還価格(使い捨てのカプセル1個に対しての値段)77,200円、技術料(センサアレイ、データレコーダー、バッテリーなどの装着、読影を含んだもの)18,420円で、合計95,620円になります。3割負担の患者さまで自己負担は28,690円です。
 
検査は入院が必要ですか?
検査のみの場合は入院の必要はありません。カプセルを飲んだ後は自由に行動できます。但し、強い磁場のある場所に行かないこと、激しい運動をしないようにしてください。
 
飲んだカプセルはどうなるのですか?
便と一緒に体外に排泄されます。排泄されるまでの時間は人により様々ですが、2週間以上排泄されない場合を滞留といいます。
 
排泄されない場合はどうなるのですか?
滞留している場所をレントゲンなどで確認し、内視鏡で摘出します。内視鏡でも摘出できない場合は手術になる可能性もありますが、これまで自然に排泄されなかったのは0.8%程度(3/384例)です。
 
どういう病気がカプセル内視鏡を用いますか?
便に血が混じるなど、消化管出血が疑われて胃内視鏡(食道、胃、十二指腸)と大腸内視鏡(全大腸)をしても原因が見つからず、小腸からの出血が疑われる場合に用いることが多いです。その他、小腸腫瘍や炎症性疾患、寄生虫が疑われる場合などにもカプセル内視鏡を行います。
 
胃や大腸も一緒に検査できるのですか?
胃は袋状の臓器であり、大腸も内腔が広く、現時点ではカプセルを外から操作することはできないので胃や大腸の検査には向きません。
 
カプセル内視鏡と小腸内視鏡とはどこが違うのですか?
カプセル内視鏡は簡便ではあり、検査前に特別な準備は必要でないため、スクリーニングとして行うことには適していますが、止血などの内視鏡的処置や組織の検査が行えない欠点があります。一方、小腸内視鏡は小腸というこれまで内視鏡的にアプローチのできなかった臓器の病変〔クローン病や原因不明の出血〕を的確に捉えることを可能にしました。その反面、小腸という消化管壁の薄い臓器を対象としているために、穿孔や粘膜損傷などの偶発症は皆無ではありません。また、全小腸を観察するためには、口側と肛門側から2度にわたり内視鏡を挿入することが必要で、検査時間がかかります。 このような点より、スクリーニングとしてはカプセル内視鏡を、精査には小腸内視鏡をという「検査のすみわけ」が必要です。

小腸そのものは非常に長く、検査方法がレントゲン二重造影法やプッシュ式内視鏡などに限られていたことから、これまで小腸の病気についてはあまり解明されていませんでした。

最近、ダブルバルーン式小腸内視鏡(DBE)が実用化され、これまで診断が困難であった小腸の病変を確実に診断することが可能になりました。当院でも2007年1月より導入しており、原因不明の消化管出血や小腸腫瘍にその威力を発揮しています。



 
検査に入院は必要ですか?
従来の上下部消化管内視鏡検査に比べ、検査時間が長く身体的な負担もありますので、入院で検査を行っています。小腸は非常に長いため、内視鏡を口から挿入する場合と肛門から挿入する場合があります。どちら側からするか、もしくはどちらともするかは病変の部位や病態によって違います。
 
検査時間はどれくらいですか?
口から挿入する場合は1時間半を限度に検査を行います。肛門から挿入する場合は、可能な限り深部まで挿入しますが、2時間くらいが目安です。
 
カプセル内視鏡だけではだめなのですか?
カプセル内視鏡は、小腸病変の有無を観察することはできますが、生検や治療はできません。生検とは、病変の組織の一部を採取して病理学的に確定診断をつけることです。また、ダブルバルーン小腸内視鏡では止血をしたり病変を切除したりすることができます。そのため、小腸病変が疑われる場合はまずカプセル内視鏡を行い、その後に小腸内視鏡を行います(ただし、病態によっては小腸内視鏡から先に行うこともあります)。

お問い合わせ先:
熊本大学医学部附属病院消化器内科 庄野 孝 096-373-5150

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