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WGC(World Glaucoma Congress)2025

熊本大学眼科入局2年目の専攻医の岸健一郎と申します。今回、アメリカ・ハワイで開催されたWGC(World Glaucoma Congress)2025に参加させていただきました。

WGCは2年に1度開催される国際的な緑内障の学会で、2025年は6月25日から28日の4日間の日程で、ハワイコンベンションセンターで開催されました。私は、井上教授、高橋先生にご指導いただき、バルベルトチューブシャント手術後の晩期高眼圧に対する被膜切除と毛様体光凝固の有効性の比較について、ポスター発表をさせていただきました。

  • ポスターの前での記念写真ポスターの前での記念写真

国内の医学系の学会と同様に、WGC2025でもシンポジウムや一般演題などがあり、ポスター展示や企業展示がありました。国内の眼科の学会は数度ほど参加していますが、それまでの学会ではあまり見たことのない、研究内容や社会的な課題などについて動画で発表するfilm festivalや有料のインストラクションコースやwet laboもありました。

熊本大学病院は緑内障診療を精力的に行っていることもあり、専攻医2年目であっても理解しやすいセッションも中にはありましたが、今まで聞いたことのなかった私にとって全く新しい概念もあり、大変勉強になりました。学会として公式にOKとしているかどうかはわかりませんでしたが、周りの参加者の先生方がスライドの写真を撮っていましたので、私も真似してスライドの写真を撮影でき、後々見返すには便利でした。

  • 会場のフォトブース会場のフォトブース
  • 学会会場のエントランス

大きい会場でのセッションは日本国内の学会と似たような雰囲気もありますが、全体的に質疑応答も活発なセッションが多かった気がします。また、数十人程度のレクチャー形式のセッションでは、講義の途中でも質問をする参加者も多く、日本との文化的な違いを感じました。英語でのコミュニケーションにもう少し自身があれば、他の国からの参加者のように質問などできたかなと心残りはあり、今後の課題になりました。

  • セッションの様子

遠路はるばるハワイまで来たのでせっかくと思い、有料のウェットラボにも参加してきました。

ひとつめは隅角鏡についてウェットラボでした。最初にミニレクチャーがあり、小グループでの前眼部OCTの所見についてのディスカッション、それぞれ模擬眼を使った眼内ロトミーのウェットラボの90分のコースでした。25名定員の参加者に対して、インストラクターの先生が10名ほどいらっしゃり、ロトミーをしたことのない私に対しても手厚く教えていただける環境でした。150ドルと参加費は安くはありませんでしたが、受講してよかったと感じました。

翌日にはマイクロパルスのウェットラボにも参加してみました。こちらはひとり1台、IRIDEX社のcyclo g6が用意されており、思う存分マイクロパルスを練習できるウェットラボでした。インストラクターの先生方の他に、IRIDEX社の社員も数多くサポート役をされていて、IRIDEX社の全面協力のコースでした。

  • マイクロパルスのウェットラボ

熊大眼科では入局1年目からマイクロパルスを行っていることもあり、手技そのものは熊大のプロトコール通りでした。他の参加者などと話してみると、プロポフォールを用いた鎮静下に行っているところもあるなど、国や地域による差があることを実感しました。

今回のWGCにも懇親会がありますが、学会提携のオフィシャルホテルのヒルトンのパーティー会場で開催されました。(参加費150ドルと高かったです。途上国からの参加だと割引があるみたいです。)

  • 懇親会 会場

夕陽が綺麗な時間に始まり、金曜日の夜に打ち上げられる花火も会場から見ることもできました。席は自由席でしたが、日本人の高名な先生方とたくさんお話させていただくことができました。

懇親会のエンターテインメントとして、ハワイの踊りなどが披露され、世界各地からの参加者も楽しんでいたようです。5種類くらい様々な地域のダンスや歌が披露され、中には世界チャンピオンもいたようで、ハワイ観光をここで楽しめた気がしました。

  • 懇親会のエンターテインメント
  • 次回開催地 京都の発表

開会式で発表がありましたが、次回のWGCは2年後の京都で開催、日本緑内障学会との合同開催とのことです。海外でも有名な観光地となっている京都での開催の発表とのことで、会場から喜びの声が上がっていました。日眼とほぼ連続の日程かつ平日開催と、難しいスケジュールではありますが、日本国内で国際学会に参加できる貴重な機会であり、期待が高まっています。

はじめて国際学会に参加して、世界の流れをとらえながらそれをこの熊本の地で実践できるような眼科医であり続けようと、思いを新たにしました。