第41回日本胆道閉鎖症研究会の開催にあたって
この度、第41回日本胆道閉鎖症研究会を開催させていただくこととなりました。歴史を重ねた本研究会を主催させていただき、たいへん光栄に感じております。熊本では、前任の世良好史教授が開催された1997年以来となります。
本症の病態研究や診療成績の向上において本研究会は大きな役割を果たしてきました。登録制度も確立し国内での全体像も把握されるようになっていますが、一方、自己肝生存率の向上はなお長足の進歩を遂げているとは言えません。折しも、厚労科学研究の一環として、診療ガイドラインの作成が本年から研究会挙げての作業として開始され、今回の研究会はその作業のただ中での開催となります。それも踏まえ、今回、特別講演として、長年、日本の胆道閉鎖症診療の総本山施設としての歴史を担い、また事務局の御担当として本症診療を4次元的に俯瞰できる立場におられる、東北大学小児外科教授、仁尾正記先生に、「胆道閉鎖症 過去・現在・未来」と題してのお話をいただくこととしました。また、今年も、胆道閉鎖症の子どもを守る会」のご協力もいただき、特別企画として、「彩乃ちゃんの一生から学ぶ」を予定しました。彩乃ちゃんは、まだ国内での肝移植開始前に我々に治療を求めた胆道閉鎖症の女児です。克明な育児=闘病記録をもとに、ご両親、当時関与された、木村健、田中紘一の両先達のご発言も交えて、往時の本症診療の厳しさを再認識いただき、さらにこれからの本症診療向上への訴えかけが得られればと思っております。
応募演題40となり、当日の復路時間も勘案しまして開始を30分早くし、また休憩時間もとれないタイトな運営となることをお許しください。前日入りされる方も多いと存じますので、全員懇親会には是非お越しください。また、この時期、紅葉でもあり、日曜日も滞在できます方は、お城散歩など熊本も楽しんでいただければと存じます。
今回の研究会も、会員の皆様、そして多くの患者さんたちにとって実り多いものとなりますことを願い、多数の先生がたの御参加を心からお願いいたします。
第41回日本胆道閉鎖症研究会 会長
熊本大学 小児外科・移植外科 教授
猪股 裕紀洋