ごあいさつ

熊本大学 大学院生命科学研究部 臨床病態解析学講座のウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。

「臨床病態解析学」:患者様からご提供いただいた検体(試料)を活用し、さまざまな疾患の病態解明を進め、その成果を治療法・予防法の開発のために役立てる学問分野 と定義し、2015年3月にスタートした研究室です。熊本大学病院 中央検査部と深く連携し、臨床情報を重要視した疾患解析を行っています。

昨今、数多くの遺伝性疾患や悪性腫瘍において大規模なゲノム解析がなされ、疾患の発症に直接関与する遺伝子異常が明らかになりつつあります。一方で、これら遺伝子異常を基盤に産生される異常タンパク質、あるいはタンパク質産生能の変化が、個々の疾患発症にどのような役割を演じているのかといった理解はまだ十分になされておらず、ゲノム解析に追いついていないと言えます。そこで当研究分野では、これまでの我々の研究背景を存分に役立て、造血器腫瘍の発症や、悪性腫瘍の転移・再発に的を絞って病態解明を進めていきたいと考えております。

また、次世代シーケンサーをはじめとする研究機器を、より診断に近いレベルで運用するための準備も進めています。「研究内容」のところにも述べますように、臨床検査はなによりも精度が命です。あるはずの異常を見落とすわけにはいきませんし、正常を異常と誤判定するわけにもいきません。そこで、データ品質を担保し、検査・診断手順の標準化や検査コストを考慮したクリニカル・シーケンス基盤の確立を目指しています。