会長あいさつ


熊本大学乳腺内分泌外科同門会発足に際して

熊本大学大学院生命科学研究部 乳腺内分泌外科学分野 教授
岩瀬弘敬

熊本大学大学院 乳腺内分泌外科学分野は平成16年11月に開講され、平成26年には10周年を迎えることができました。これまで、県内の病院、診療所、検診施設で乳癌診療に携わっておられる先生方には、患者様のご紹介や診療連携、教室員の非常勤務先のご提供など、日頃より格別のご配慮を頂き、厚く御礼を申しあげます。また、これまで教室の運営に直接携わって頂きました先生方には大変ご苦労をおかけいたしましたこと、深謝いたします。本同門会発足に際して、教室の紹介、関連施設、発足の主旨などについて述べさせていただきます。

私が赴任した平成16年11月に教室に在籍していたのは、医員であった山本豊先生、川添輝先生と大学院生の奥村恭博先生、そして医局秘書の岡部絢子さんでした。小さな所帯でも、大学院講座や附属病院診療科としての通常業務は、他の大きな診療科講座のそれと全く同様であり、当時の先生方には複数の委員会や多くの雑務を請け負って頂きました。現在では、教授、乳癌分子標的治療学寄付講座 特任准教授、大学院所属助教、病院所属助教、地域枠寄付講座特任助教、病院特命助教、大学院生に加え、事務補佐員、研究補佐員の陣容となり、乳腺内分泌外科としては全国的に見ても大きな組織に成長しました。

附属病院の診療では、①画像ガイド下吸引針生検、②RIを用いた局所麻酔下センチネルリンパ節生検、③遺伝性乳癌卵巣癌のカウンセリングを行う家族性腫瘍相談診療チームの活動、④インプラントを用いる乳房再建術の施設認定など、大学附属病院ならではの特徴を生かした診療を行っており、病々・病診連携として多くの症例をご紹介頂いております。また、臨床試験の取り組みも積極的に行っており、全国規模、九州乳癌研究会、あるいは県内で行われる臨床試験などへの企画、参加、結果の発信をしております。さらに、新薬のグローバル治験も数多く受託しており、海外の主要学会で話題になっている分子標的薬についても、その多くを市販前に経験することができました。月曜日の午後には新患、手術前後、再発症例に関しての集学的なカンファランスが行われており、他診療科や他職種の意見を取り入れて、各々の患者様の治療方針を打ち出しています。また、内分泌外科領域では、甲状腺癌に対する甲状腺全摘術とその後のヨード内照射症例も増加しており、内分泌外科学会の認定施設にも指定されています。

研究面では大学院生の研究を中心に、教室のオリジナルな研究が徐々に英語論文として発刊されるようになり、複数の先生が医学博士号を修得されました。さらに、中国からの外国人特別研究員であったZhang先生、短期留学されたFu先生、Xu先生など、3名の国外留学生を受け入れ、それぞれ短期間ながら複数の英語論文を執筆されました。今後も、乳癌のバイオロジーを評価した予後因子・効果予測因子の解析、ESR1遺伝子および近傍の遺伝子に関連したエストロゲン依存性増殖機構の解明、繰り返した内分泌療法後のエストロゲン療法の作用メカニズム解析、多遺伝子発現や遺伝子異常による効果・予後予測因子の検討などは教室の柱の研究として、世界レベルの研究をしたいと思います。

一方、関連施設としては、熊本赤十字病院には川添輝先生に乳腺内分泌外科を開設頂き、村上敬一先生には熊本市立熊本市民病院をお守りいただくこととなり、専攻医・研修医の教育を含め綿密に連携をしています。また、熊本医療センター、熊本労災病院では専攻医の外科的教育をお願いしており、各施設の関係者の方々に感謝いたしております。さらには、比企病院、東病院、朝日総合病院、宮崎外科胃腸科医院、山鹿市民医療センター、公立玉名中央病院、熊本地域医療センター、済生会熊本病院、くまもと乳腺・胃腸科病院、再春荘病院、牧診療所(順不同)などには、非常勤医師として定期的に当科の専門医が外来をお手伝いさせて頂いています。その中で、「熊本乳腺協力医の会」は共同研究・臨床試験を行う研究グループとして存続させていきたいと考えています。

このように、熊本県で乳腺内分泌外科の領域で志を同じくする仲間が増え、また、かつて熊本大学で乳癌研究・臨床を行った先生方も全国にあるいは世界で頑張っておられます。そこで、教室開講10年を経て、皆様方の親睦を深め、情報交換の場を提供し、志を確認するという目的で、「熊本大学乳腺内分泌外科同門会」を発足することと致しました。年に一度「同門会幹事会、総会」を開催させていただく予定です。医師だけの同門会ではなく、我々に深く関わって頂いた医療者あるいは医療者ではない方も何らかの形で同門会懇親会や名簿への参加して頂き、また、一年間のうち最も同門会に貢献したものを表彰する功労賞表彰などの事業を行います。

気づかれたことがありましたら遠慮なくご指摘していただき、親しみやすい開かれた同門会にしたいと思います。よろしくご協力の程、お願い申し上げます。

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