骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の発生機序に関する研究
超高齢社会を迎え、現在、がん患者数は約180万人、骨粗鬆症の患者数は総人口の約10%弱(約1,100万人)と言われています。「がん」と「骨粗鬆症」の両方の患者さんに共通して投与される有効な薬剤として、ビスフォスフォネート(BP)やデノスマブなどの「骨吸収抑制薬」があげられます。これらの「骨吸収抑制薬」は、がんの患者さんでは骨転移の治療に、骨粗鬆症の患者さんでは骨折の予防に用いられる非常に重要な薬剤です。一方、骨吸収抑制薬投与患者では、発生頻度はまれですが「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(Anti-resorptive agents-related Osteonecrosis of the Jaws: ARONJ)」が発症することが知られており、発症すると治療が困難な場合があり、患者さんの生活の質は著しく低下します。しかしながら現在、ARONJの詳細な発症機序は明らかとなっておらず、その予防法も確立していません。そこで私たちは、ARONJを発症する動物モデルを用いてARONJの分子メカニズムを解明し、ARONJの発症予防法を開発するための研究に取り組んでいます。
下顎骨に生じたARONJ患者の口腔内写真