熊本大学病院 歯科医師臨床研修 プログラム責任者挨拶

熊本大学病院歯科部門
卒後臨床研修管理委員会 プログラム責任者
歯科口腔外科科長
中山 秀樹

歯科医師臨床研修希望の皆さんへ

 2019年12月に初めて新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が確認されてから2年以上が経ちましたが、感染が拡大するたびに社会活動が制限され、いまだに感染収束の見通しはたっていません。そんななかでも、皆さんはアフターコロナを見据えて、歯科医師としての自分の将来について真剣に考えておられることと思います。2023年の春こそ、私たちは皆さんを新たな気持ちで迎え入れ、共に笑顔で仕事ができることを待ち望んでいます。
 さて、熊本大学病院の歯科医師臨床研修プログラムの最大の特色は、『口腔外科をベースに全人的医療を実践できる歯科医師を養成すること』です。1年間の卒後臨床研修を終えてからは、麻酔科、集中治療部(ICU)、救急部(救急外来)、あるいは地域拠点病院での歯科口腔外科の研修を経て、超高齢社会に対応できる「全身管理のできる歯科医師の育成」を目指しています。
 熊大病院では、各研修歯科医に対し、1年間に4名の指導歯科医が3か月ごとにマンツーマンで指導する教育体制をとっています。指導歯科医の大半は本院の麻酔科、集中治療部(ICU)、救急部(救急外来)に配属され、地域拠点病院の歯科口腔外科に勤務した経験を有しています。指導歯科医が研修歯科医の目線できめ細かな指導を行うことで、研修歯科医は複数の指導歯科医から多様な考え方を身につけることができます。
 本院における臨床研修プログラムは、Aコース(2年コース)とBコース(1年コース)に大別されます。また、両コースとも国が認める卒後臨床研修の修了証を1年で取得できます。Aコース(2年コース)の場合、2年目に6か月の麻酔科研修があります。一方、Bコース(1年コース)の場合、研修修了後も当科に残り集中治療部(ICU)や救急部(救急外来)で研修を受けることが可能です。どちらのコースに進んでも、十分な全身管理の経験を積むことができます。
 初期臨床研修後の教育体制として、当科では専門修練システム(専門医育成システム)による口腔外科研修を主体とした専門性の高い教育を実践しています。卒後4年目には日本口腔外科学会認定医の取得が可能です。当科で研鑽を積んだメンバー全員が日本口腔外科学会認定医を取得し、その上でキャリアアップを考えて欲しいと考えています。日本口腔外科学会専門医を目指す場合、最短で卒後7年目に受験資格を得ることができます。
 この高齢社会において、私たちは医療安全を重視して安心安全の治療を実践しなければなりません。そのためには、全身管理の修練に加え、何事にも向上心を持って取り組み、時代の変化に調和した「総合力」を身につけることが必要です。「総合力」には、診断力、情報収集力、危機察知能力、説明力、人間力などが含まれます。そのような力は大学院に進学して研究に従事し、課題解決へ向けた努力を積み重ねることで徐々に磨かれ、「臨床力」に反映すると考えています。知の拠点である大学病院で臨床研修を受けるのであれば、臨床と研究を切り離さず研究の世界にも積極的に飛び込んで欲しいと願っています。
 これまで皆さんの多くの先輩が本院での研修を経て地域社会で活躍しています。「臨床に根ざした専門的知識を有し、全身管理を行える歯科医師の育成」と「次世代を担う大学人の育成」、これらが熊本大学の歯科医師臨床研修指導における教育理念です。これらの目標を達成できるように、口腔外科認定医・専門医の育成と大学院生の教育に力を注いでいます。皆さんと共に質の高い、実り多き臨床研修の場を一緒に築いてゆきたいと考えています。本プログラムへの参加を心よりお待ちしています。 

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