検体検査室

 検体検査室の中では、検体受付部門、生化学検査部門、免疫血清検査部門、凝固線溶検査部門、血液検査部門がワンフロアで協力しながら日常検査業務を行っています。2015年1月に、新しい分析装置及び臨床検査システムの更新が行われ、従来の、検体搬送・分析機器運用から、さらなる進化を遂げた迅速検査体制を構築運用しています。
現在、生化学検査担当技師4名、免疫血清・凝固検査担当技師5名の中には、認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師、糖尿病療養指導士、NST専門療法士、医療情報技師などの資格を有した技師が在籍し、診療および患者支援の医療へ貢献できる検体検査室を目指しています。


【検体受付部門】受付・前処理(検体搬送) 
 生化学、免疫、凝固、血液、輸血部門全体で構成している検体検査室配属技師(20名)で、常時2−3名が、日々交代して検体受付業務を行っています。

 新受付システム(RFID)の導入 
 外来中央採血室の採血管発行機(テクノメディカBC-ROBO 8000)で発行されるRFIDラベルを使用し、検体受付時にRFID読み取り機で一括検体確認を行っています。(受付業務の効率化・業務軽減、採血検体紛失のチェック)

 









 新検体分注装置・搬送システムの導入 
 新しいフロントエンド分注装置(IDS-CLAS 3600:約500検体/時間)を2台導入し、分注処理時間の短縮と分析装置への迅速な分注検体搬送を行っています。さらに、冷蔵機能付き検体保管ユニット(5Kストックヤード)も導入し、臨床からの追加検査体制の迅速化・省力化を実現しています。導入に伴う、到着検体の測定・結果送信時間(TAT時間)短縮は、外来迅速検査に十分威力を発揮しています。

 

 

 

 

 

 

 

  <冷蔵機能付き検体保管ユニット>         <フロントエンド分注装置>


【生化学検査部門】
 生化学検査担当は、以下の分析装置を使って、病棟緊急検査・外来迅速検査を中心に、約80項目をルーチン検査担当3名で検査しています。項目数も多くデータの管理は大変ですが、毎日の精度管理・機器メンテナンスを充実させて、迅速かつ正確な臨床データの提供に日々取り組んでいます。


 HLC-723G11-GA8Ⅲブリッジ×2台 
 <糖尿病検査>
  GA8Ⅲ ・・・・・血糖
  HLC-723G11・・・ヘモグロビンA1c
  (特徴)約30秒/分で迅速測定。

 


 BM6070 × 3台 
 <肝機能検査>
  総蛋白、アルブミン、AST、ALT、
  γ-GT、ALP、ビリルビンなど
 <腎機能検査>
  尿素窒素、クレアチニン、
  尿酸、尿蛋白など
 <脂質検査>
  コレステロール、中性脂肪、
  HDLコレステロール
  LDLコレステロールなど
 <その他免疫項目など>
  (特徴)3台でフルバックアップ。
      検査を止めない工夫。



【免疫血清検査部門】
 免疫血清検査担当は、以下の分析装置を使って、ルーチン検査業務を2名で検査しています。時代の流れとともに自動化が進み、いまや、最大7機種9台の機器を使用しています。機器のメンテナンスや精度管理はなかなか骨が折れますが、みんな頑張っています。

<腫瘍マーカー、ホルモン類等検査>
 PIVKAⅡ、PSA、TSH、ACTH、TnT、PcTなどの多くの項目

 COBAS 8000 × 2台 
 22項目を測定し、検体サンプルから約20分で結果を報告しています。生化学検査項目とあまり変わらないくらい早くなりました。




 ルミパルスG1200 
 肝癌マーカーであるPIVKAⅡと、HTLV-I/IIウイルス抗体を測定しています。






<感染症検査>
 HBV、HCV、HIV、HTLV-I/IIなどの抗原・抗体検査項目

 アーキテクト2000 × 2台 



<自己抗体検査>
 抗核抗体などの自己抗体検査項目

 STACIA
 SLEやシェグレン症候群などの診断、経過観察に有用です。測定時間が約30分と従来より格段に早くなったため初診時に診断がつけられ、遠隔地からの患者への診療に威力を発揮しています。

<その他免疫検査>
 蛋白分画キャピラリー電気泳動
 免疫固定法
 ウエスタンブロット





 今後は、近い将来、異常検体を精査することができる体制を整え、熊本地域でどの施設の人でも利用することができる場を提供していきたいと考えています。

 


【凝固線溶検査部門】
 凝固線溶検査担当は、以下の分析装置を使って、ルーチン検査業務を1名で検査しています。年々検査件数が増えており、現在、年間70,000件を超える水準まで達しています。そのため、分析機の処理能力が問われるようになってきました。

 CP3000 × 3台 
 凝固線溶検査の11項目を測定しています。同じ分析装置(CP3000)3台が搬送ラインに接続され、均等に振り分けられる検体を次々と処理します。




 HISCL5000 
 凝固検査でTATという項目を測定しています。この分析装置は免疫検査項目も測定することができるので、将来的には免疫検査の分野もカバーする予定です。





 その他にも、後天性血友病などの早期発見を目指してミキシングテストを実施しています。
患者の血漿と正常人の血漿を混和して、2時間インキュベーション後に、PTやAPTTを測定します。

<測定項目一覧>
PT、APTT、TAT、Fib、D-dimer、FDP、AT3、plasminogen、PIC 等

 

 


血液検査部門】
 血液検査室は、末梢血や体腔液について検査しており、日常業務を2~3名体制で行っています。

【血算、血液形態検査】
(XN-9100,SP50:シスメックス)
測定精度の向上、処理能力アップしており、1機種での末梢血、体腔液の検査が可能です。また必要な血液標本は自動で作製され、外来至急検体は血液像目視検査まで、60分以内で報告しております。 
(DI 60:シスメックス)
血液標本上の血液細胞を自動分類する装置です。標本作製装置に連動することにより、血液像検査までを自動化し、さらなる効率化を進めております。
【血沈検査】
(Roller20 PN:フィンガルリンク)
ヘモグラム検査の検体にて、光学キャピラリーストップフローカイネティック分析法を原理とする血沈検査を実施しています。従来のクエン酸採血が不要となるため、患者様の採血軽減、測定時間の短縮になっています。

 血液内科と週1回、形態カンファレンスを行い、検査室からの分類不能細胞の提示や、血液内科症例(特に骨髄)についての形態学的ディスカッションを行い、臨床医とのコミュニケーションを図っています。

 

【遺伝子検査】
① 骨髄増殖性腫瘍JAK2-V617F、CALR遺伝子変異(i-densy:アークレイ)
全自動SNPs検査装置を用いることで、迅速で変異の検出を行います。

【教育】
① 細胞分類機器(セラビジョンDM96:セラビジョン・ジャパン)
鏡検従事者の細胞分類の技術レベルの向上や日常業務の効率化のため稼働しています。高度なデジタル画像解析により、画像の保存が可能となっています。