輸血検査室


  1980年(昭和55年)に中央検査部から独立して「輸血部(現 輸血・細胞治療部)」が設立
 されました。1997年に血液製剤管理を薬剤部から移管し血液製剤の一元管理を開始しました。
 2001年には、中央検査部と合同で輸血検査24時間体制を確立し、2006年医療技術部発足後は中
 央検査部と輸血・細胞治療部は人材育成、業務の効率化の面においても密に連携をしています。
  現在、輸血部門は4名の技師と自己血、幹細胞採取業務の看護師1名が従事しており、輸血およ
 び移植分野の専門性を高める目的で、輸血認定技師、認定HLA検査技術者、日本サイトメトリー
 技術者認定、細胞治療認定管理師認定自己血看護師の資格を有した技師および看護師が在籍し、
 先進医療へ貢献できる“プロフェッショナルな検査室”を目指しています。

 【業務内容】
 1.血液製剤管理
   安全かつ適正な輸血医療を支えるために、臨床側からの輸血オーダーに迅速対応し血液セン
   ターと連携しながら血液製剤の供給に努めています。
   適正輸血の推進と廃棄血削減に取り組んでいます。

   1)血液製剤の発注業務
   2)血液製剤保管管理業務
   3)輸血依頼を受けて、血液製剤の割当ておよび払い出し業務
   4)小児、新生児用の血液製剤の分割業務
   5)輸血歴管理業務


 2.輸血関連検査
   ABO血液型、Rh(D)血液型、不規則抗体スクリーニング検査は、カラム凝集法を
   原理とするVISION MAX(オーソ社)2台を使用して24時間検査を実施しています。血
   液型は、異なる時期で採血された血液の検査結果の一致で確定となります。

 


  1)血液型検査
  2)不規則抗体検査
  3)直接抗グロブリン検査
  4)抗A抗B抗体検査
  5)交差適合試験

 3.移植関連検査
   当院で実施されている肝臓移植、腎臓移植、幹細胞移植および熊本県の臓器移植ネ 
   ットワーク登録施設として、Luminex(Luminex社)を用い患者およびドナーの末梢
   血よりDNAを抽出しPCR-SSP法にてHLAタイピングを行っています。


  

  1)HLAタイピング
  2)リンパ球クロスマッチ

 4.その他検査
   フローサイトメーターNAVIOS(ベックマンコールター社)を用い、リンパ球表面マー
   カーとPNH鑑別検査を行っています。細胞検査は保存が難しいため、迅速に結果報告
   することを心がけています

 

  
  1)リンパ球表面マーカー
   (CD4/8比、T/B/NK)
  2)PNH鑑別検査(赤血球、顆粒球)
  3) CD34陽性検査

 

 5.自己血採血、末梢血幹細胞採取、保管管理
   待機的手術患者で、自己血適応であれば「自己血貯血」の選択があり、中央診療棟4階で輸
   血部専任看護師が自己血を採取しています。また末梢血幹細胞採取も同室で行っています。

 



   1)全血貯血
   2)MAP、FFP分離貯血
   3)末梢血幹細胞処理、保管
   4)臍帯血幹細胞管理
   5) テムセルHS注保管、管理


 6.輸血副作用監視、対策
   輸血前の患者検体を凍結保管(約2年間)し、輸血による感染症が疑われた場合に「生
   物由来製品感染等被害救済制度」の適応に備えています。

 7.会議、カンファランス
   輸血療法委員会を年6回開催し、院内の輸血療法に関する議題や取り決め事項を協
   議しています。
   移植外科、泌尿器科の移植術前カンファランスへ参加し、輸血準備量について確認
   をしています。