薬剤部は、本院における医薬品の安全管理・適正使用支援を担う部門として機能しています。当部の薬剤師は、患者さんに対する安全で有効な薬物治療を確保するために、医師や看護師等の医療スタッフとともに、職種横断的なチーム医療の中で薬学的視点から「薬の専門家」として職責を果たすことを任務としています。薬剤関連業務の基盤となる調剤・処方鑑査・疑義照会、医薬品情報提供、医薬品管理、薬物血中濃度モニタリング等の各種業務と機能的に連携し、患者さんの目線に立ちつつも薬学的観点や科学的エビデンスを踏まえた薬剤管理指導業務とともに、副作用モニタリング、診療科での症例カンファレンスやミーティングでの医療スタッフへの情報提供等を含む病棟薬剤業務、治験業務並びに医療安全管理業務を推進しています。また、既に全診療科の入院患者さん並びに通院点滴治療を受けている外来患者を対象とした注射用抗がん剤の無菌調製業務は、感染予防やがん化学療法の安全確保といった視点から、薬剤師の専門技術が不可欠な業務として取り組んでいます。さらに、中央手術室にも専任薬剤師を配置し、手術時に使用される種々医薬品の適正管理業務を行っています。
また、診療科との共同により、血中濃度モニタリングに基づく抗生剤等の個別投与設計法の開発、抗がん剤耐性獲得機序の解明、腎臓病の病態形成機序や尿毒症治療薬の開発等に関する基礎・臨床研究にも取り組んでいます。薬剤師一人ひとりが高い専門性と鋭敏な機動力を発揮することで、患者さんをはじめ医師・看護師をはじめ他の医療スタッフからも信用・信頼される薬剤師として認識されるものと考えます。さらに、薬剤部では、大学院生命科学研究部・臨床薬物動態学分野として、薬学部学生・薬学教育部大学院生の教育・研究指導並びに薬学部生の長期実務実習を担当しており、資質の高い薬剤師の育成にも貢献しています。本院は、日本医療薬学会認定研修施設、日本医療薬学会がん専門薬剤師研修認定施設・同薬物療法専門 薬剤師認定研修施設、日本病院薬剤師会がん薬物療法認定薬剤師研修施設、同 HIV 感染症薬物療法認定薬剤師研修施設に指定されており、各種専門・認定薬剤師の資格取得を支援しています。
東病棟1階に薬剤部業務部門が設置されており、機能的で清廉な職場環境の中で、薬剤師一人ひとりが専門職能を高めるための研鑽を積みつつ活躍しています。
薬剤部長 教授 齋藤 秀之