研修だより / 研修医 インタビュー

研修医 インタビュー

髙木 友理子 先生

令和3年度研修医
熊本大学出身
髙木 友理子 先生

Q1.初期臨床研修先に熊本大学病院を選んだ理由は?

 熊本大学出身なので、研修も引き続き熊本に残ろうと考えていました。その中で研修先に当院を選んだ理由は、大学病院の高い専門性にあります。大学病院には市中病院では診断がつかなかった症例や、治療が限られている難しい症例等が多く集まってきます。初期研修のうちにそういった症例と出会うことで、将来珍しい、難しい症例と出会ったときに「そういえば昔大学で診たことがある」と気付くことができるきっかけになると思います。たった一度でも実際に見たことがあるものと、机上の知識としてしか知らないものとでは大きな差があるため、大学病院での研修が勉強になると考え志望しました。

Q2.大学病院と市中病院の違いは?

 私はたすき掛けのコース(1年次:国立病院機構熊本医療センター、2年次:熊本大学病院)を選びましたが、1年目の市中病院では仕事というもの自体のやり方やその忙しさに慣れる、場数を踏み度胸がつくという点が、特に良い経験になったと思います。
 大学病院へは2年目に戻ってきたのですが、こちらではよりアカデミックな内容を考える機会が多いです。 市中病院と比較して最も違うと感じたところはカンファレンスです。大学病院はカンファレンスの時間自体も長く、発表内容も詳しいため、準備にもより時間と労力がかかります。新規入院症例のフルプレゼンテーションは特に、準備する中でその疾患や患者背景について勉強する良い機会になります。また、病棟実習中の学生が自分の下に付くこともあるので、学生から質問を受けることも多く、教えるために勉強したり、自分がきちんと理解していなかったところに気づかされたりするなど、自分のためにもとてもプラスになると感じています。身体を動かすだけではなく、しっかりと勉強すると言う点において大学病院は非常に良い環境だと思います。

Q3.大学病院で研修する前と今のイメージの差について

 学生の頃、「大学病院は卒後3年目の先生(=新入局の先生)が沢山いるので、手技などが回ってこない、任せてもらえる仕事がない、だから大学病院で研修しても意味がない」というような噂を聞いていました。 しかし、実際に働いてみるとそれは誤りで、仕事はもちろん、手技がないということはありません。例えば、私は先月(令和4年4月)が腎臓内科、今月(令和4年5月)は呼吸器内科で研修を行っているのですが、腎臓内科ではシャントオペの第一助手をさせていただきましたし、呼吸器内科では、担当患者さんの気管支鏡検査をさせていただきました。
 3年目の先生もいらっしゃいますが、研修医にもきちんと手技の機会が提供され、仕事も任せてもらえますので、「仕事がなくて勉強にならないから大学病院はやめておいたほうがいい」という噂を鵜吞みにして大学病院を選択肢から外すことは勿体ないと思いますし、そういった噂は信じないでほしいと思います。

Q4.指導医について

 オーベンとなるのは比較的若手の先生であることが多いですが、大学病院において指導してくださる先生は、3年目の若手の先生から教授までと幅広く、経験豊富な先生が多くいらっしゃいます。皆さん本当に優しくて、質問しやすく、どのような疑問にも丁寧に答えてくださいます。
 市中病院とは各科の医師の数が段違いで、様々なご専門をお持ちのベテランの先生が多くいらっしゃるため、どんな質問でも「その内容なら○○先生がプロだから」と、その分野でのスペシャリストと言える先生に教えていただけます。これは大学病院で学ぶメリットの中でもかなり大きいと思います。

Q5.大学病院で学ぶメリット

 前述のとおり、高い専門性を有し、難しい症例や珍しい症例を経験できること、そして、各科の教授を始め、県内でのその分野の第一人者と言えるスペシャリストである先生方からの指導が受けられること、アカデミックな内容を学ぶ機会が多いことなどが挙げられると思います。
 また、3年目以降の進路を考えるにあたって、特に3年目以降も熊本に残る予定の人、熊本大学に入局する人にとっては、見学の1日だけではなく、大学病院でその診療科をローテートすることで実際の仕事内容や雰囲気などを知ることができるというのもメリットと言えると思います。

Q6.柴三郎プログラムを選んだ理由は?

 大学入学以前から研究には興味があったのですが、プレ柴三郎(学部生の間から研究室に入ること)はしていませんでした。ただ、大学院に行きたい、基礎研究を経験してみたい、という思いは強くありました。
 大学院に進む場合、初期研修終了後、各診療科に入局し、専門医取得の目途が立つあたりでの大学院進学、という進路が一般的と思いますが、女性の場合は結婚出産育児といったライフイベントと被ってしまうことも多く、博士号を取りそこなうこともよくあると聞きます。結婚等の予定があるわけではないのですが、むしろ現時点でそういったことが決まってないからこそ、自由に時間を使えるうちにやりたい事に挑戦しようと思い、6年生のマッチングの時期に柴三郎プログラムに応募することを決めました。

Q7.柴三郎プログラムを選んで良かったこと

 初期研修と研究を両立していて一番良かったと思うことは、研究で思うようなデータが出ないことがあっても、研修医としての仕事の中でできることが増えていると実感したり、患者様から「ありがとう」と感謝の言葉をいただいたりなど、良いことがあったときに「また頑張ろう」と思える、逆に臨床の仕事が上手くいかないときでも、研究で良いデータが出るとモチベーションが上がる、といったように、どちらもいい気分転換になることです。両方を行ったり来たりしていると、基礎研究の内容がどのように臨床につながっているのかわかることが増えていると実感しています。なので、臨床の現場で働きながら基礎の理論を学ぶのは、非常に視点が変わって面白いですし、興味深い発見も沢山あります。

Q8.専門医プログラムを考えるにあたって、大学で初期研修を行う意義について

 3年目以降の進路を決定するにあたって、入局を検討している診療科で研修ができるというのは、見学として短い時間、あくまで「お客さん」として見るよりも、実際の仕事内容や雰囲気をよく知ることができますし、実際にそこで働くことで、自分がここでやっていけそうかなど、じっくり考えることができます。
 なので、3年目以降も熊本に残る予定の人、熊大への入局を考えている人にとっては特に、初期研修の2年目を大学病院で行うというのは大きなメリットだと感じます。

医学部生へのメッセージ!!

 柴三郎プログラムに関しては、学生で研究をしている人は少数だと思いますが、研究も興味があるという方は研修医になるタイミングからでも決して遅くはないので、自分の「やってみたい」という気持ちを大切にして是非参加してほしいです。
 今の時点で自分がやりたい研修の方向性に迷っている人も多いと思いますが、熊本大学病院の初期研修は、新しいプログラムになり外病院、市中病院とのたすき掛けも今まで以上に自由に選択できます。皆さんの研修病院選びの候補の一つにぜひ熊本大学病院の初期研修を加えてもらえたら、と思います。