熊本大学医学部付属病院 B2プログラム 吉松秀隆
大学病院、市中病院の両方を研修できる点に魅力を感じ、このプログラムを選びました。
大学病院では、1年目の最初の半年は内科(循環器内科3カ月、消化器内科2カ月、代謝内科1カ月)、2年目の後半の半年は選択(小児科4カ月、循環器内科1カ月、精神科1カ月)を選択しました。
最初は医学の知識云々より、点滴のルート確保、採血などの手技や、オーダーの出し方、電子カルテの使い方、スキャナの取り込み方などの事務的な内容に四苦八苦したのを覚えています。これまでの机上の勉強とのあまりのギャップに戸惑うばかりでした。
最初に大学病院を回って良かった点を3つあげます。一つは身体診察やカルテの書き方などを丁寧に学べたことです。やはり市中病院に比べ最初の指導はしっかりしていると思います。2つ目はカンファレンスやプレゼンテーションの準備です。毎回どうしたらもっと簡潔に的確に相手に伝わるか必死に取り組む姿勢は、今でも継続して行っている大事なことです。3つ目はDrの人数が多いので、少しでも困ったことがあれば、気軽に相談できる点です。
市中病院では1年目の10月から2年目の9月までの1年間、宮崎県立延岡病院で研修しました。延岡病院を選択した理由は、研修前から小児科か循環器内科とで迷っていて、両方ともにスタッフが揃っており、充実した研修が出来ると考えたからです。
延岡での研修で良かった点を3つあげます。1つ目は救急外来です。最初に患者さんにタッチすることがはじめての経験であったため、最初は戸惑うことも多かったのですが、身体診察や検査を行い診断にこぎつけた時や、実際に自分で薬を処方したり、注射薬を投与することで、患者さんの苦しみが一時的にでも取れた時など、普段の病棟診療以上に達成感を感じました。延岡病院では救急科以外にどの科を回っていても月5、6回の当直があります。上級医のDrと協力しながら診療にあたるため、一人で全て責任もって対応する必要はなく、安心して医療に臨めたと思います。また救急科以外の先生と当直することで、もし自分が救急科以外に進んだとしても、当直する時に最低限出来なければならないことを学べたのは良かったです。2つ目は循環器内科研修です。宮崎県北部で経皮的冠動脈形成術(PCI)を出来る施設がこの病院以外ないため、急性冠症候群の方が毎日と言ってよいほど来ます。特徴として症例数はもちろんのこと、Door to balloon timeが短いことがあげられます。他のコメディカルスタッフとの連携がしっかり取れているからだと思います。この一連の流れは一見の価値があります。循環器に興味ある方は是非この施設で研修することをお勧めします。3つ目は縦横の連携です。色々な科の先生と夜当直する機会がありますので、回っている科以外の先生とも顔見知りになります。気軽に相談できたり、勉強会を開いてくださったり、プライベートで飲みに連れていってもらったりしました。また熊大、宮大両大学から様々な期間で研修医が来ます。他の大学の研修がどんな感じか聞いたり、一緒に当直したり、遊んだりと本当にいい刺激を受けました。
延岡での研修中、市中病院の方が様々な救急疾患など沢山の症例を経験でき、手技も身につくという点で魅力的だなと感じたのは事実ではあります。しかし2年目の後半に大学に戻ってきたとき、同じ疾患であっても大学病院では様々な合併症を持つ難解な症例が多く、他科とも連携しあいながら一つ一つの症例を細かく見ていく大切さに気付きました。それぞれ一長一短があると思います。この2年間で両方を経験できたのは非常に良かったです。
最後になりましたが、ご指導してくださった先生方、コメディカルの方々、お世話してくださった事務の方々、一緒に過ごした研修医の皆、担当させていただいた全ての患者さんに感謝しています。どうもありがとうございました。この二年間を糧にして今後も精進していきます。