後期研修医の声

今年度より熊本大学病院救急部で笹尾駿介先生が後期研修医として研修を始められました。

笹尾駿介先生
出身 八代市
高校時代の部活 吹奏楽部(サクスフォーン担当)
出身大学 熊本大学医学部(R3年卒)
初期研修医 自治医科大学付属病院
趣味 ドライブ
笹尾駿介先生
笹尾先生こんにちは。まずは、熊大病院救急部へようこそ。先生のことを聞かせてください。
笹尾駿介先生(以下笹尾):お願いします。
出身、クラブ活動、趣味など聞かせてください。
笹尾:出身地は八代で八代高校出身です。高校時代は吹奏楽部に所属していました。サクスフォーン(木管楽器)の担当でした。
大学は熊本大学医学部で、R3年に卒業しています。本学のアカペラ部に所属していました。
趣味はドライブです。週1回小国公立病院へ外勤に行っていますが、道中のドライブを楽しんでいます。
初期研修はどこでされたんですか?
笹尾:自治医科大学附属病院に行きました。かねてから関東へのあこがれがありましたが、あまり都会すぎると、専門性が高すぎる可能性があったので、少し田舎の方がいいかなーと思いました。栃木県下野市というところに病院があります。周囲に市中病院がない為、困った患者様はだいたい自治医科大学に来るんです。
研修医時代についてお聞かせください。
笹尾:2カ月間だけ地域医療で、東日本大震災があった南三陸町に行きましたが、それ以外は自治医科大学附属病院内で研修しました。基本的には後期研修医の先輩方との屋根瓦方式で学びました。研修医は、ローテーションしている診療科に関わらず、通年救急外来勤務があり、土日は日勤と夜勤、平日は夜勤の勤務が割り当てられます。救急外来は、救急車を受けれるベッドが5床、陰圧個室が1床、手術室が1床ですね。月に1回は救外での緊急開胸や開腹がありました。
熊大の救急を選んだ理由について聞いてもいいですか?
笹尾:他の同期は、救急部のローテーションが多忙できつかったと言っていたのですが、私は、特にそうは思いませんでした。楽しかったので、性に合っているかなと思ったんです。短いスパンでPDCAサイクルを回すのも好きなところでした。
熊大に決めた理由ですが、地元に帰りたかったというのが一番です。他の救命センターも見学に行きましたけど、熊大のプログラムが3年間のうちにすべての救命センターで研修ができるので、すばらしいプログラムだと感じました。また、学生指導にも興味があったので熊大にしました。
選んでいただいてありがとうございます。最後に、今後の意気込みなどお聞かせください。
笹尾:意気込みですか・・・。とりあえず目の前のことに精一杯です。ただ、一人で島に飛ばされたとしても、1週間くらい耐え抜けるような医師になりたいなと思います。救急専門医は早く取得したいです。3年目以降は未定ですけど、緩和とか在宅医療とかにも興味はあります。「とりあえず見ますよ」と言えるフットワークの軽い救急医になりたいですね。
素晴らしい抱負だと思います。とりあえず3年間頑張ってください。
笹尾:ありがとうございます。

熊大救急で1年間専攻医を経験して

熊大救急 専攻医 笹尾駿介

私は熊本大学を卒業後、栃木の自治医科大学病院で2年間研修を行いました。研修で救急の面白さを自覚し、救急医を目指すことにしました。
地元の熊本で救急医をやろうと考えましたが、かねてから熊本の救急事情はやや特殊ということがわかっていましたので、県内の3つある救命救急センターをすべて回ることができ、かつ特殊事例を受け入れており、Closed ICUがある熊本大学病院を基幹とするプログラムに乗ることにしました。

1年間救急外来では様々な症例を経験しました。

1年目の前半は一人で夜間勤務することはなく、必ず上級医と勤務し、ホットラインは上級医がもっていました。そのなかで基本的なERでの動きかたを指導していただきました。熊大救急部には整形外科、消化器外科、循環器内科、消化器内科からの出向の先生や専門医の先生方がいて、それぞれの得意分野を教えてもらいながら勤務していました。

夏から秋にかけては2ヶ月間集中治療部に、1ヶ月間麻酔科での研修を受け入れていただきました。
集中治療部では救急外来からの患者、院内で急変した患者、予定手術術後の患者などを担当しました。とくに研修医のときに行わなかった心臓血管外科術後の患者の術後管理は各パラメーターの意義などを改めて勉強し直す良い機会となりました。
麻酔科では研修医とほぼおなじく、自分で麻酔プランをたて、末梢ルート確保、Aライン挿入、気管挿管、術中管理、抜管、退出を実施しました。もちろん研修医のときにも同様の研修を実施してはいましたが、いざ、「救急外来で気管挿管をひとりでしなければならない」ことを想定して行う麻酔科研修は1例1例がとても貴重なものとなりました。実際にその後救急外来での勤務では役に立った実感があります。

1年目の後半から救急隊からのホットラインをもち、かつ各科の状況、院内のベッド状況を把握しながら受入の可否を検討するのはかなり神経を使いました。救急隊からのホットラインの情報だけで入院または外来加療でよいのか、はたまた入院ならばどの診療科にコンサルトが必要か、救急部だけで対応ができるのかを考えながら動いていました。もちろん、近隣他院の状況を鑑みながら電話対応するのは病態推論や鑑別診断のトレーニングになりました。

症例としては、重症から中等症、軽症、または単純な病態から社会調整に難航した症例まで幅広い経験をしました。
熊本大学病院の救急部で、救急専門医に必要な症例数のほとんどが賄えている状態になりました。
学会発表やメディカルラリー、各種コース参加など、多大なる勤務調整と金銭補助をうけながら、Off-JTを経験できました。

週1回、小国公立病院で内科の外来、その後の宿直でもバリエーションのある経験ができました。たくさん温泉にも入りました。

今後は約半年ずつの県内の救命救急センターをローテーションし、救急専門医を取得する予定です。
救急医はその地域、その時間帯で対応が手薄になる病態に対して広く対応ができるのが魅力と思います。そのためには単一の施設でのトレーニングでは不十分で、このプログラムのように多施設での経験が必要になると思います。

熊本大学病院の救急専攻医プログラムはあまり知られてはいませんが、このような多施設での経験をやってみたい方にはとても進められるプログラムと思います。