近年、低侵襲医療は様々な領域で目覚ましい発展を遂げています。腹腔鏡・胸腔鏡に代表される内視鏡手術、ロボット支援手術、血管インターベンションの進歩は、患者の身体的負担を軽減し合併症の低減に貢献しています。
一方で、これらの手技の習得には一定の訓練が必要です。訓練に裏付けされた安定した手技を身に付けることが、合併症の少ない本当の意味での低侵襲医療につながります。いくつかの領域では低侵襲医療に関する技術認定制度や、手術手技の審査を伴う専門医制度があります。これらの資格を持つ医師とそうでない医師とでは合併症や手術関連死亡の発生頻度に有意差がある、というデータも本邦から報告されています。この領域で安定した診療の成績を上げるためには、一定の技術レベルに到達することが不可欠で、日々のトレーニングは欠かすことができません。
幸いなことに現在は、様々な学びの場が用意され、以前より学習する環境が整っていると感じます。Webや学会のHPを通じて上級医の技を学び、自分のビデオを見直して反省し、手術を改善して行くことができます。しかし手技に関して、特にその端緒においては、自分の手を動かすこと以外にこれを習得する方法はありません。手を動かすことで手技を覚え、カンを養い、無駄な動きが少ない安定した技術を身に付けて行くことができます。
また、一定のレベルに到達された先生は、そのレベルを維持していく必要があります。低侵襲手技はインターバルが数カ月開いてしまうといわゆる「カン」が鈍り、必要以上に手技に手間取ることがあります。そのためドライラボ、ウェットラボ、シミュレータで手を動かし続けることが重要です。
低侵襲医療トレーニングセンターでは、最新のドライラボ、内視鏡手術シミュレータ、ロボット手術シミュレータ、血管インターベンションシミュレータを用いたトレーニングを行っています。医学生、初期臨床研修医、若手医師向けに定期開催される講習会のほか、トレーニングを希望される先生には随時対応しています。
当センターが低侵襲医療の発展に少しでも貢献できますと幸いです。
低侵襲医療トレーニングセンター
特任教授 吉田 直矢
講習会名 | イベント名 | 日 時 | 内容概要 | 担当者 | 対 象 | 募集人数 |
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ロボット手術講習会 | 低侵襲手術トレーニング(Early exposureコース) | 5/18(土)・ 6/29(土)・ 7/20(土)・ 9/7(土)・ 10/5(土)・ 11/2(土) 9:00~12:00 |
目的:低侵襲医療に興味がある、教科書だけではイメージできない最先端の医療に触れてみたいという方へのアプローチ 内容:ロボット支援手術シミュレータと腹腔鏡下手術シミュレータを使用して、低侵襲手術手技の練習を行う |
総合臨床研修センター副センター長・特任教授 吉田 直矢 |
医学部医学科生研修医(院内・院外) | 4名 |
マイクロサージャリー顕微鏡講習会 | 歯科口腔外科 マイクロサージャリーベーシックコース |
8/26(火)・ 3/4(火) 15:00~17:15 |
目的:研修医・レジデントが基本的な顕微鏡手技を体験し、技量を向上すること 内容:顕微鏡基本手技の習得 講義・実習(顕微鏡の操作方法、血管吻合) |
准教授 吉田 遼司 助教 川原 健太 |
研修医・医員 | 9名 |
心臓血管外科 マイクロサージャリーベーシックコース |
調整中 | |||||
形成外科 マイクロサージャリー ベーシックコース |
7/30(火) 15:00~17:00 |
目的:基本的な顕微鏡手技の体験 内容:講義・実習(顕微鏡の操作方法、血管モデル吻合) |
講師 伊方 敏勝 |
研修医 (院内) |
3名 | |
耳鼻咽喉科・頭頸部外科マイクロサージャリーベーシックコース | 調整中 | |||||
脳神経外科 マイクロサージャリーベーシックコース |
8/15(木) 14:30~16:30 |
目的:研修医が顕微鏡手技の一般的な使用について知り、基本的手技を体験すること 内容:基本的な顕微鏡手術手技 講義・実習(顕微鏡手術について、顕微鏡の操作方法、血管吻合) |
助教 岳元 裕臣 |
医学部医学科生 研修医 (院内・院外) |
3~6名 | |
整形外科 マイクロサージャリーベーシックコース |
調整中 | |||||
小児外科・移植外科マイクロサージャリーベーシックコース | ||||||
血管造影シミュレータを使用した講習会 | 第1回 放射線科IVRベーシックコース |
7/5(金) 14:30~16:30 |
目的:医師に必要なinterventional radiology (IVR)の知識 vascular IVRの基本操作の習得 内容:講義(医師に必要なIVRの知識、経皮的動脈塞栓術に必要な知識)、シミュレーターによる訓練(カテーテル操作、フレーミング操作、塞栓物質投与) |
特任講師 上谷浩之 |
研修医(院内) | 5名 |
第2回 脳神経外科ベーシックコース |
7/18(木) 10:00~12:00 |
目的:医師に必要な脳血管の知識および脳血管カテーテル検査の 基本操作の習得 内容:講義(医師に必要な脳血管の解剖、脳血管カテーテル検査に必要な知識)、シミュレーターによる訓練(カテーテル操作、フレーミング操作) |
助教 岳元 裕臣 ※助教 竹﨑 達也 |
研修医(院内) | 3-5名 | |
第3回 脳神経内科ベーシックコース(脳神経内科との共同開催) |
9/7(土) 13:00~17:00 |
目的:脳血管内治療に対する知識を習得し、手技を理解する 内容:講義(脳卒中の知識、脳血管内治療に必要な知識)、シミュレーターによる訓練(カテーテル操作) |
特任助教 進藤 誠悟 |
研修医(院内・院外) | 10名程度 | |
第4回 循環器ベーシックコース |
9/18(水) 13:00~15:00 |
目的:心臓カテーテル検査の基本操作及び心エコー図検査の習得 内容:講義(心臓カテーテル検査・心エコー図検査に必要な知識)、シミュレーターによる訓練(カテーテル操作、フレーミング操作)・心エコー図検査のトレーニング |
総合臨床研修センター特任助教 尾池 史 |
研修医(院内) | 3-5名 | |
第5回 消化器内科ベーシックコース |
2月開催予定 | 目的:腹部血管造影検査に対する理解を深める 内容:講義(肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓術を行うのに必要な基本的知識)、シミュレーターによる訓練(血管内治療シミュレータを使用した手技の体験) |
特任助教 徳永 尭之 |
研修医(院内) | 5名 |