熊本大学病院初期臨床研修医 自由設計コース
吉田 実奈
今回、「研修医だより」執筆の機会をいただき、簡単ではございますが私が経験した初期研修医としての2年間について振り返りたいと思います。
大変だった医師国家試験をやっとの思いで乗り越え、卒業後2023年4月より初期臨床研修医として働き始めました。前年度より熊本大学病院での研修は自由設計コースとなり、自分の行きたい、気になる病院に3ヶ所、地域研修を含めると4ヶ所まで選んで研修することができるというものでした。そこで私は、1年目の4月から12月まで人吉医療センターで研修させていただき、1月より大学病院の研修をスタートしました。その後も、2年目の5月に阿蘇やまなみ病院、8月に福田病院、9月に地域研修として阿蘇医療センターでの研修を行いましたので、それぞれの病院での研修についてまとめていこうと思います。
人吉医療センター「2023年4月-12月」
大学卒業後、初めての職場となった人吉医療センターでは5人の同期と6人の先輩に出会いました。私が人吉医療センターを選んだのは、熊大生の頃、人吉医療センターで実習させていただいた時の印象がとてもよく、働きたいと思ったからです。先輩方も同期もとても優しく、おもしろい性格でみんなで協力しながら研修生活を送りました。恐らく人吉医療センターの研修の中で、みんなが口を揃えて1番大変だったと言うのは、救急外来だと思います。救急車を断らないという方針のもと、研修医と上級医の2人体制で救急外来を回していました。入職してすぐの頃は、先輩も共に入ってくださり教えてくださいました。その時の先輩たちをみて次から1人でしないといけないという不安と少しの高揚感を感じていたのを覚えています。患者さんが来院されたら問診や身体診察を行い、検査は何をするのか、方針はどうするのかなど考えてアセスメントをする必要があります。また、方針次第では診療科にコンサルトするなど緊張する場面も多々ありました。しかし、上級医の先生方はとても優しく教えてくださり、コンサルトを行った時も快く診察してくださいました。地域の特性上、鹿児島や宮崎からも救急車が運ばれてくる中で、多くの患者さんをみながら学びを深めることができました。
また、忘れられない思い出として、ハワイ研修があります。同期半分ずつに分かれて、ハワイへ研修に行きました。秋田からも研修医の先生が参加されていて、研修医数人でハワイの医師養成施設のようなところで勉強しました。実習形式で会話は英語でしたが、日本人の先生もいらっしゃったのでなんとか理解しながら研修をすることができました。このような研修を行なっている病院はあまりないと思います。9ヶ月という短い期間ではありますが、同期や先輩、先生方に囲まれて実りの多い研修となりました。
阿蘇やまなみ病院「2024年5月」
多くの人が大学病院での精神科を回る中、地域の精神科病院へ研修に行きました。5月の阿蘇はまだ肌寒かったです。阿蘇やまなみ病院は阿蘇地域で唯一の精神科病院であり、入院病床などもありました。介護老人福祉施設や介護老人保健施設、障がい者相談支援事業など幅広い分野で阿蘇地域に貢献している病院でした。精神科だけでなく、色々な施設にも行き勉強させていただきました。印象深いのは、行政などとの話し合いの場に参加させていただき、阿蘇地域やその付近の精神患者さんの対応で困っていることや課題などについて一緒に考えられたことです。病院にいるだけではなかなか知り得ない課題などを知ることができたことはかけがえのない思い出です。
福田病院「2024年8月」
この先進む診療科として、消化器外科と産婦人科で悩んでいたこともあり、大学の産婦人科だけでなく日本一の出生数を誇る福田病院での研修を行いたいと思い希望しました。福田病院では日本一の出生数であるように本当に毎日多くの子どもが生まれます。たくさん生まれる中、妊婦健診などで来院される患者さんもとても多いです。お母さんにとっては唯一自分のお腹の中にいる子供が元気か、どんな顔をしているのか見ることができるのが妊婦健診時のエコーになります。エコー検査で、胎児の大きさを測定し表情を見たりしました。先生方のようになかなかすぐに大きさを測ったり、顔を見たりできませんでしたが、少しづつ教えていただきできるようになりました。分娩でも、夜勤なども経験しながらたくさんの赤ちゃんを取り上げ、その後必要な処置や産後の合併症が起こった時の対応なども実際に経験し勉強することができました。
阿蘇医療センター「2024年9月」
地域研修として阿蘇医療センターに行きました。阿蘇医療センターでは、外来や救急外来の対応、手術の見学、診療所訪問などを行いました。阿蘇地域は山間部であり、近くに病院がない地域もあります。阿蘇医療センターは波野診療所、産山診療所に医師を派遣していて、病院が遠くなかなか来れない患者さんを近くで見て、必要な検査などがある場合は予約を取り阿蘇医療センターで検査を行うというような連携システムがとられていました。波野診療所はカルテも阿蘇医療センターと同じであり、入院が必要となった時も情報の共有がスムーズに行われていました。診療所訪問などは、地域の病院でないと経験できないことであり、医療の限界やその中でどう診療をしていくかなど考えさせられる部分がたくさんありました。
熊本大学病院「2024年1月〜」
人吉医療センターから大学病院へ戻ってきて、最初は呼吸器内科で研修を行いました。呼吸器内科は疾患も幅広い上に、胸腔ドレナージや気管支鏡検査などの手技も多く楽しく研修することができました。その他にも、小児科や産婦人科、外科だけでなく緩和ケアやリハビリなど他の病院では研修できないような場所でも研修させていただきました。手術をする診療科に進みたいと思っていたこともあり、術後のリハビリをどのように行っているのか、がんなども含めて苦痛を感じている患者さんにどう対応したら良いかをリハビリや緩和ケアでの研修を通して学ぶことができました。診療科に進んでしまった後は、なかなか学びたくても学ぶ機会も時間も確保することが難しいと思います。研修医の時が1番学ぶことができるチャンスだと思い、自分の目で見ることができてよかったです。普段であれば、様々なところにコンサルトをする側だと思いますが、コンサルトされる側の立場になることは今のところあまり経験がなかったので、コンサルトをする時にどのような情報を伝えることがされる側にとって有益であるか、わかりやすく伝えるにはどうしたら良いかということも、多くの先生方をみて学ぶことができました。また、大学病院では他の病院では対応が難しい疾患や珍しい疾患も多く集まります。診断を下すこと自体が難しい場合もあるし、治療が難しい場合も多々あります。その中で、自分なりに考え先生たちに質問したり先生方の議論を聞いている中で学びを深める場面も多くあり、大学病院での研修を行うことができ本当に良かったと思います。
自由設計コースで、自分で考え病院を選んで研修させていただきましたが、どの病院もとても魅力的であり、多くの先生方にお世話になりました。大学病院の自由設計コースを選んだことによって、様々な病院での研修、先生方との出会いがありました。2年間という期間ではありますが、ここでお世話になった皆様のおかげで実りの多い研修生活となりました。4月からは後期研修が始まり専攻医となります。自分の進む道が決まり、嬉しい反面不安もいっぱいですが、2年間を通して学んだことを活かしながらこれからも働いていこうと思います。
最後になりましたが、2年間ご指導いただきました大学病院をはじめ、連携病院の先生方、医療スタッフの方々、また研修生活を支えていただいた研修センターの皆様には、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。