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肝移植の手引き

肝臓移植を必要とする病気

表1 肝臓移植を必要とする病気
  成人 小児
慢性肝疾患 肝硬変
原発性胆汁性肝硬変
原発性硬化性胆管炎
胆道閉鎖症
急性肝疾患 劇症肝不全(劇症肝炎)
代謝性肝疾患の一部
代謝性肝疾患 FAP,ウイルソン病など 多種類
腫瘍性疾患 肝臓癌(多くは肝硬変に合併)
嚢胞性肝疾患
肝芽腫、肝未分化肉腫
肝血管内皮腫
血管性疾患 バッドキアリ症候群

 肝臓移植を必要とする病気は、肝臓自体が形の上でも働きのうえでも悪くなるものが大部分ですが、一部、外観上全く正常な肝臓でも、その働きに問題があるために移植を必要とするような病気も含まれます。

 肝臓自体が形の上でも働きの上でも障害を示す病気には、ゆっくりじわじわ起こってくるもの(慢性肝疾患)と、急に起こってくるもの(急性肝疾患)とがあります。前者が圧倒的に多く、肝硬変と言われる病気の多くはこれにあたります。後者は、劇症肝炎、あるいは劇症肝不全と呼ばれるもので、それまでお元気だった方が何の前触れもなく急に肝臓が悪くなる病気です。このほか、肝臓が外観上全く正常でも、肝臓が本来の働きをせず、必要なものを作らなかったり、あるいは不要有害なものを作ったりする病気も含まれ、これらの多くは生まれつきの病気が多く、代謝性肝疾患という名前で分類されます。

 肝臓移植を必要とする病気は、患者さんの年齢によっても特徴があります。大人の患者さんが実数としても多いのですが、C型肝炎や、B型肝炎が進行して生じる肝硬変の患者さん、さらにこれらを基礎に生じる肝臓癌が、成人の移植を要する慢性肝疾患としての多くを占めます。また、成人の慢性肝疾患では、原発性胆汁性肝硬変など、特殊な後天的な病気が進行することによって結果的に肝硬変になって移植を必要とするような病気もあります。一方、小児で移植を要する疾患では、胆道閉鎖症という病気が最も多い慢性疾患です。

 急性疾患としては、上記のごとく、劇症肝炎、あるいは劇症肝不全という病気がこれにあたり、原因がはっきりわからないことが多いのですが、B型肝炎ウイルスによるもの、あるいは薬物によるものなども含まれます。小児でも成人でもこの劇症肝不全はあります。

 代謝性肝疾患は、多くは生まれつきの障害であり、そのため、子供でその頻度が高くなります。多くは、肝臓が、体に不要有害なものを分解代謝できないため、たとえばアンモニアといった脳に悪影響を及ぼす物質が体内に増えて脳の機能が障害されて結果的に死に至ることもあります。中には、成人期までその診断がつかない場合、あるいは、成人になってはじめて症状を呈してくるような代謝性肝疾患もあります。  このほか、肝機能の悪化で通常の肝切除ができない場合や通常の肝臓の部分切除では全部取り切れないが肝臓を丸ごと切り取れば全部取れて、体の他の部分に病気が残らない状態の悪性疾患(成人では肝臓癌が大半、小児では肝芽腫といわれる腫瘍が最多)でも、肝臓移植が検討されることになります。

 このほか、数は少ないですが、移植以外に治療法がなく、移植がその病気を治す上で合理的と考えられる多種の病気に、肝臓移植が行われてきました。

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