肝移植の手引き
脳死肝移植の詳細
熊本大学は、2010年7月以降国内の脳死肝移植実施施設に認定され、当院においても脳死肝移植を受けることが可能となりました。脳死肝移植の登録から実施までの概略を説明します。
1.脳死肝移植とは
脳死移植とは、亡くなった方(脳死に至った方)からの善意によって提供された臓器の全部または一部を移植する手術です。提供される臓器としては、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸、腎臓などがあります。
日本においては、1997年に臓器移植法が制定され、1999年に初めての脳死肝移植が行われました。その後、脳死臓器提供は年間に10例程度にとどまり、肝臓移植おいてはその分生体肝移植が中心に行われてきました。これは、脳死移植が主であるアメリカやヨーロッパ、日本以外のアジア諸国と大きく異なるところです。2009年に臓器移植法が改正され、ドナーの意思提供が不明な場合、ご家族の意志で脳死臓器提供が可能となり、2010年7月からこの改正が施行されました。そのため、2010年7月以降脳死臓器提供の数が増え、2010年12月までに95例の脳死肝移植が施行されています。