患者様へ

肝移植の手引き

2.脳死肝移植登録の流れ

脳死肝移植登録の流れ

(1)インフォームドコンセント → 検査まで

 脳死肝移植を考えておられる患者さんに対し、まず、脳死移植についてのインフォームドコンセント(脳死移植の手順、手術方法、手術後合併症、脳死ドナー発生時の連絡など)を行います。その上で希望された場合は、登録に必要な検査を行います。検査内容は、表5のようなもので、外来でも検査は可能ですが場合によっては2泊3日程度の入院で検査を行うことがあります。

表5 脳死肝移植適応評価のための検査
  • 血液検査
    血液型、貧血の有無、肝機能、腎機能、糖尿、高脂血症、腫瘍マーカー、肝炎などの感染の有無、その他
  • 尿検査
  • 心電図
  • 胸部、腹部レントゲン検査
  • 腹部CT検査
    特に肝臓を中心に肝臓の異常、肝癌の有無、その他腹腔内の状態などをチェック
  • HLA検査

※上記にて何らか精密検査が必要であれば検査が追加になることがあります。

(2)検査 → 適応評価まで

 検査終了後、検査結果が出そろい次第、それまでの病気の経過情報と検査結果を国内の「脳死肝移植適応評価委員会」へ送り、全国一律の基準で医学的緊急性が判断されます。急ぐ順に、9点(予測余命が1ヵ月以内)、6点(予測余命が1ヵ月〜6ヵ月以内)、3点(予測余命が6ヵ月〜1年以内)、1点(予測余命が1年を越えるもの)という点数がつけられ、移植施設に返事がかえってきます。なお、この優先度判定基準は随時見直しがなされています。

(3)適応評価 → 新規登録料払い込み → 日本臓器移植ネットワークへ登録まで

 その後、適応評価に基づいて移植施設は日本臓器移植ネットワークに登録を行います。このとき、最終的に、3万円の登録手数料が必要で、患者さんに直接振り込んでいただくことになります(ご家族が振り込む場合でも患者さんの名前の記入が必要です)。これをもって登録となりますが、1年待っても肝臓があたらない時は、さらに5000円を払って更新を行います。登録後は、いつ肝臓があたるかわかりません。昼とは限らず、真夜中のことも珍しくありません。よって、非常に備えて、携帯電話は、常に話せる状態にしておくことも重要です)。

(4)待機 → 移植手術決定まで

脳死肝移植登録の流れ

登録後待機中、常に連絡のとれる状態にして頂き、実際に脳死ドナーが発生し、もし肝臓があたったら「あなたに肝臓があたりました。」という電話を移植施設からかけます(日本臓器移植ネットワークからは、優先順に2名までお知らせがいきます)。その場合、なるべく早く、約1時間以内には、その臓器提供を「受けるか。受けないか」を決めなくてはいけません。というのは、早く決めないと、次の候補への打診がその間できず、レシピエントの選定が間に合わなくなり、結果的に肝臓が無駄になる、という懸念がありうるからです。 移植を受ける決断をすれば、登録している施設に急きょ入院し、手術を受けることになります。手続きや段取りについては、その時点で医師やコーデイネーターが説明をいたします。

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