患者様へ

肝移植の手引き

3.脳死肝移植の手術と術後経過

 ドナーが出現した病院で、実際の肝臓の状態を検討し、移植臓器として妥当と判断した場合には、手術の準備、麻酔科の説明なども聞いていただいた上で、手術室に入り、麻酔をかけて手術を開始します。ただ、外観や硬さなどからその肝臓の「質」に懸念がある時は、臓器を熊大病院に搬入したのちに肝臓の一部をとって顕微鏡で見る病理検査(肝生検)をしたりすることがあり、その結果で最終的に「医学的理由」で使用不可となる肝臓があることがあります。その際は、最悪、準備に入っていた手術を中止して麻酔をさます、というようなこともあり得ます。

 手術は、まずあなたの肝臓を全部摘出することから始まります。その後、ドナー発生病院から運ばれてきた肝臓の血管等をきれいに整えた後、レシピエントの体に入れられ、血管をつなぎ合わせます。お子さんなどで部分肝を移植する場合には、ドナー発生病院で既に分割あるいは小さくされて運ばれてくることが多いですが、場合によっては熊大病院に運ばれた後小さくすることがあります。

 移植用の肝臓は、保存液という特殊な液体につけられ2~4℃に冷やされて運ばれてきます。この状態ですと最長24時間は保存に耐えると言われますが、12時間以内に移植することが望ましいとされています。

 つなぐ血管は、肝静脈、門脈、肝動脈の3種類で、最後に胆汁が流れる管(胆管)をつないで手術は終わります。おなかの中の状態によって手術時間は違いますが、10-15時間程度はかかるのが普通です。

 術後は、麻酔がかかったまま、ICUに入ります。数日ICUにいて、安定した後、外科病棟に移ります。通常、脳死肝移植のあとは、肝機能の一時的な悪化を経て回復に移行します。順調に経過すれば6-8週間後に退院となり、その後は週に1回の頻度で通院していただくことになります。

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