患者様へ

小腸移植の手引き

適応疾患について

 うまれつきや生まれた後の問題で小腸が非常に短く、口から栄養をとってもそれが十分吸収できないとき、あるいは、小腸はあるがうまく動かなかったり吸収が悪かったりして口からや腸からの栄養投与では栄養状態の維持ができない患者さんは、中心静脈栄養という、点滴からの栄養を24時間続ける方法で、生きていくことができます。しかし、この中心静脈栄養が維持できなくなると、小腸移植でしか救う手段がなくなります。具体的に述べますと、小腸移植が必要になるのは、たえず点滴での栄養補給が必要な状態でありながら、点滴を入れておくことでバイ菌が血液の中に入り高い熱が出たりする感染(敗血症)を繰り返す場合、さらに、栄養を入れるための大きな血管(中心静脈)に血液の塊(血栓)などが出来てしまって点滴の管を入れる血管がなくなってしまうとき、点滴を長い間行うことによって起こってくる肝障害(脂肪肝など)が進んでいる場合、などです。さらに点滴だけでは充分な栄養が体に取り込めず、体の中の大切な成分(電解質)に障害が起こったり、日常生活が思うように送れなかったりするような場合にも小腸移植を考える状態だと言えます。以下のような疾患が小腸移植の適応となります。

短腸症候群

先天的な原因によるもの(子供に多い)
中腸軸捻転、先天性小腸閉鎖症、壊死性腸炎、腹壁破裂、など
後天的な原因によるもの(成人に多い)
上腸間膜動静脈血栓症、クローン病、外傷、デスモイド腫瘍、腸癒着症など

小腸機能不全

ヒルシュスプルング病類縁疾患、慢性特発性偽性腸閉塞症、ヒルシュスプルング病、微絨毛封入体病など
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