小腸移植の手引き
手術早期の危険性と合併症
小腸移植は大手術で、多くの危険性があり、手術中になくなることはほとんどありませんが、術後早期にレシピエントが死亡する可能性も決して無いわけではありません。元気に歩いて入院されたレシピエントが残念ながら不幸な結果となってしまうことも小腸移植手術では現実として生じ得ます。移植手術前のレシピエントの全身状態が非常に悪い場合には、それだけ術後合併症の生じる確率が高くなります。種々の条件で、症例ごとの危険度は異なりますが、正確に個々の症例での致命的危険度を推測することは困難で、予測できない合併症で命が失われることが皆無ではありません。以下、具体的に想定される危険性を説明します。
- 1)出血
- 2)血栓症
- 3)腸管合併症
- 縫合不全、腸閉塞など
- 4)感染症
- 臓器移植を行う必要がある患者様は、手術前から弱っていることが多いですが、ここに10時間以上かかる手術の影響と、免疫抑制剤という、自分の自然な外敵防御能を弱める薬剤の使用から、時に手術後2週間程度の早期にいろいろなきっかけで感染症が成立し、そのために亡くなる症例もあります。
- 5)その他の合併症
- 肺炎や無気肺など