患者様へ

小腸移植の手引き

小腸移植の手術と術後経過

 脳死移植の場合、ドナーが出現した病院で、実際の小腸の状態を検討し、移植できる小腸であるか判断し、妥当と判断した場合には、手術の準備、麻酔科の説明なども聞いていただいた上で、手術室に入り、麻酔をかけて手術を開始します。ただ、外観やむくみなどからその小腸の「質」に懸念があるときは、臓器が熊大病院に到着したのちに一部をとって(生検)顕微鏡で見る病理検査をしたりすることがあり、その結果で最終的に「医学的理由」で使用不可となることがあります。その際は、最悪、準備に入っていた手術を中止して麻酔をさます、というようなこともあり得ます。

 手術は、まず患者様のおなかの中の血管をつなげる部分をはがすことから始まります。その後、運ばれてきた小腸の血管等をきれいに整えた後、レシピエントの体に入れられ、血管をつなぎ合わせます。つなぐ血管は、静脈、動脈の2種類で、最後に人工肛門(空腸瘻)を作成して手術は終わります。おなかの中の状態によって手術時間は違いますが、10時間程度はかかるのが普通です。

 術後は、麻酔がかかったまま、ICU(集中治療室)に入ります。数日ICUにいて、安定した後、外科病棟に移ります。順調に経過すれば8-10週間後に退院となり、その後は週に1回の頻度で通院していただくことになります。術後には、免疫抑制剤という、拒絶反応を予防する薬を一生服用していただくことになります。

 なお、手術の時に作った人工肛門は、いつか(2年後程度)閉鎖できることもありますし、一生作ったままの時もあります。これは手術に際して個別に説明します。

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