肝移植の手引き
3.どのような状態だと生体肝移植はできないのか
上記のようないろいろな状態で肝臓移植が行われますが、肝臓移植を受けることが受けないことより危険が大きいと言う場合には移植を断念しないといけない、あるいは延期しないといけない、というような状態があります。それに含まれるのは、移植をしようとする時点で治療ができていない肝胆道系以外の活動性感染症(肺炎、細菌性腹膜炎)、肝臓以外の悪性腫瘍、肝移植治療の安全性の大きな妨げとなる他臓器疾患(脳出血、脳梗塞、心筋梗塞など)、ということになります。たとえば、悪性腫瘍では、肝臓移植で取り切れない肝臓癌が残ってしまい、それが移植後の免疫抑制剤(拒絶反応を予防するため移植後は必ず必要となるお薬)のために、急に成長して、早い時期に転移として明らかになるようなことが起こるということです。