患者様へ

肝移植の手引き

7.生体肝移植レシピエント手術の危険性と合併症

(1)移植された肝臓は必ず働くのか

 脳死者からの肝移植では、手術自体は成功しても移植された肝臓が最初から全く機能しない事態が約5-10%の確率で発生するといわれますが、生体肝移植では健康な生体から肝臓を取り出してすぐに移植できるため、このような事態は非常にまれです。しかし、血液の流れが意図した通りに流れないなどの場合にはこのような事態が生体肝移植でもあり得ます。通常、体温(37度)のもとでの血流がない肝臓の細胞の維持は1時間30分程度が限界で、これ以上長くなると、その後血流が再開されても肝臓の機能は回復されない可能性が高くなり、せっかくの生体ドナーからの移植肝が壊死してレシピエントの生命が危険になることがあります。よって、レシピエント側の血管を十分準備してから、冷却保存してあるドナーの肝臓を入れるようにしています。なお、ドナーの肝臓は、ドナーから摘出された後、特殊な保存液中で、2-4度前後で冷却保存されますが、この状態ですと、半日程度は十分保存可能です。

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